その昔、パリが大嫌いだった。仏語が喋れても下手だとしかめっ面するし、人が冷たかった。スノッブなイメージもあったし、陰険だとさえも思った。でもフランスでもバブル崩壊の期や9.11の事もあってパリから観光客が減りカフェやホテルが慌て出した。そのせいでしょうか、最近のパリは温かい。英語で道を聞いてもきちんと返してくれる。人が親切になって来た。そして今の私はパリに夢中。ブルゴーニュの田舎暮らしに疲れたときはふらりとパリに出かけ刺激を得る。副都心のデファンス地区から戻ったらバリバリよぉ!
嫌いだと思った町に夢中になる、私が大人になったのか、町が成熟してくれたのか。この現象は大阪にも言える。私を大阪に惹きつけた最大の理由は、「料理」、つまりここは食事がとっても美味しいと言うこと。私は大阪と東京の「料理」にディジョンとリヨンの関係を見た。ディジョンの美食が庶民的なものに対し、リヨンのそれは精巧な技術を施した皿の上の芸術であるように、大阪ごはんはありきたりな料理がずしんと胃袋に訴えてくれる、そして東京ごはんは、皿の上のステンドグラス、つまりちょこちょこと彩りよく並びそれが完全な調和を描いてる。
[152]「十戒」を観て!
最近フランスのミュージカルにわくわくする。私は大のミュージカルファン。本場アメリカに負けず劣らずのものがここ数年フランスに旋風を起こしている。普通のこれは台詞の一部が音楽仕立てだけど、こちらのこれは全部が音楽劇。それは懐かしの「シェルブールの雨傘」と同じ設定。最近はここからのヒット曲も多い。日本にミュージカル「十戒」がオリジナルキャストで来ると言う。その話はフランスでも話題になった。私は去年これを観たが感動の一言に尽きる。
私の出た大学はユダヤ教にそのルーツを持つプロテスタント系の学校で卒業までにしっかりと「宗教」の単位が山の様に科せられこれは日本の道徳の授業に撮り換わったものと理解し受講。だから旧約も新約も和文、英文、仏文と3種類も読んだし聖句も暗誦した。チャールズ・へストン主演の映画「十戒」も講義で何度も観たしだからいつも「十戒」に対しては「荘厳」「厳格」「精錬」みたいな男性的なイメージを抱いたけど、こちらで「十戒」を観てこの話には「兄弟愛」「夫婦愛」「人類愛」と愛がテーマの女性的な面を知った。