[152]「十戒」を観て!

最近フランスのミュージカルにわくわくする。私は大のミュージカルファン。本場アメリカに負けず劣らずのものがここ数年フランスに旋風を起こしている。普通のこれは台詞の一部が音楽仕立てだけど、こちらのこれは全部が音楽劇。それは懐かしの「シェルブールの雨傘」と同じ設定。最近はここからのヒット曲も多い。日本にミュージカル「十戒」がオリジナルキャストで来ると言う。その話はフランスでも話題になった。私は去年これを観たが感動の一言に尽きる。
私の出た大学はユダヤ教にそのルーツを持つプロテスタント系の学校で卒業までにしっかりと「宗教」の単位が山の様に科せられこれは日本の道徳の授業に撮り換わったものと理解し受講。だから旧約も新約も和文、英文、仏文と3種類も読んだし聖句も暗誦した。チャールズ・へストン主演の映画「十戒」も講義で何度も観たしだからいつも「十戒」に対しては「荘厳」「厳格」「精錬」みたいな男性的なイメージを抱いたけど、こちらで「十戒」を観てこの話には「兄弟愛」「夫婦愛」「人類愛」と愛がテーマの女性的な面を知った。


大学ではいつも教授が「神というものは男性でも女性でもない。アダムとイブは神のイメージを持って創られた。だから両性が存在する」と講義。だから宗教にも男性的な面と女性的な面があって当然と今更ながら思ったり。私たち人間はとても複雑に出来ているから同じものでも様々な見方をし、解釈をする。だから宗教戦争が終わらないのかもしれない。とても悲しいです。
ミュージカル「十戒」はこれまでこの物語を男性的な面からのみ解釈されていたものを、女性的な面から映し出すという画期的なものに私は捉えました。
そしてミュージカルとして娯楽として心底楽しめる作品となっていました。音楽担当のパスカル・オビスポの才能の豊さに誰もが脱帽。でもその歌詞を追いながら、理解しながら聴けたらこれまた最高。これを観るときはやっぱり歌詞カードを手にして、日本語訳を自分で付けて観覧してもらいたい。特に最終幕で全員で合唱する L’envie d’aimer (Final)には涙が止まらなかった。ぜひ日本にも感動を!
「十戒」の歌詞サイト
http://fr.lyrics-copy.com/les-dix-commandements.htm
「十戒」の日本での紹介サイト
http://www.dipps.co.jp/stage/jukkai/
夢路とみこ