フランスはカトリックの国だから日曜日は安息日で基本的には教会へ行き、その後は家族や親しい人と一緒にお洒落して外食ということがあります。日曜だと選択肢が少なく定食の価格もやや高くなるというのもありますが、せっかくの日曜日だものサンドイッチよりちょっとお洒落なランチを楽しむのも旅行の醍醐味なのでは?
ディジョンにあるノートルダム教会傍にあるカフェレストラン「メゾン・ミリエール」は歴史的建造物に指定されているので格好のお写真スポット。すぐ傍にはこの町のシンボル、シュエット(幸福のふくろう)がありますので左手でふくろうの頭をなでなでして下さい。無事な帰国と幸せを約束してくれます。ふくろうは知恵の神とも言われます。知恵の欲しい人は他の観光客に混じって行列になろうとなでなではお約束。
90年には映画「シラノ・ド・ベルジュラック」がここで撮影されたことがお店のガラス窓に掲示されるポスターが示します。この店は1階がカフェとお洒落な小物のブティークで2階がちょっとカントリーな雰囲気が素敵なレストラン。壁にはディジョンを題材に描いた物が幾つか掲げてあるのにこの町への愛情を感じます。
ランチはア・ラ・カルトもありますが、私が注文した日曜日の定食(Menu)は16ユーロ。平日の定食ならももっと安い。1階の喫茶室は格好のアフタヌーンティーの場所。
[103]オヤジカフェに文化あり
フランスはカフェ文化と言われるほどにカフェが多くそれはフランスの知的文化の源であり大衆文化の泉のような気もします。パリや南仏ではカフェそのものが外観となり美しい光景をかもし出します。私も都会のカフェでインテリぶってカフェノワゼット(エスプレッソのクリーム入り)をシックに飲むのが好きですが、それは表参道や南青山でも出来ること。フランスでカフェ文化の大衆臭さを満喫するならやっぱり地方のオヤジカフェに行くことを薦めたい。満喫は遠慮でもやっぱり一見の価値はあるので是非旅行中に一回は立ち寄ってみてください。
パリや南仏のお洒落なカフェと一線を画しオヤジカフェは東京の有楽町ガード下、私の魂の癒し何処、新宿西口思い出横丁にも通ずるものがあります。そこにはハンチング帽のようなベレー帽を被ったオヤジが鼻の頭を真っ赤にしてワインやビールをすすっています。あっぱれ仏大衆文化を守るオヤジ、朝からでもワイン!ダイエット大流行で最近の若者は私たちがイメージする程にワインを飲みません。またワインに対する知識も思い入れも外国人の方がすごいような印象すらあります。外国人に乗っ取られそうなワイン文化をオヤジカフェのオヤジ達はひたすら守るかのようにワインを飲む。きっとオヤジは哺乳瓶の頃からワインの味を知っているのでしょう。
オヤジカフェでは入り口付近のカウンターに屯してくだを巻いているから入り難い雰囲気がありますが、朝や日中なら勇気を振起して是非入ってみて下さい。朝は近所のパン屋からの焼きたてのクロワッサンやパン・オウ・ショコラがあるのでカフェ・クレーム(カフェ・オレの事)と一緒にどうぞ。ホテルの朝食よりも安い。出勤前のオヤジがコーヒーを引っ掛けていたり、定年か失業かの常連オヤジは地元紙を読みながらワインを片手によもや話をする。ランチタイムなら近くのOLが安くて美味しい定食を食べに来たりもする。フランス語が分からなくてもオヤジ達の「この世の春」的な明るく手振りが大げさなおしゃべりは聞いていて楽しいもの。またオヤジカフェは常連で成り立っているようなものだから郷土名物ドリンク、ディジョンならキール、南仏ならパスティス、ノルマンディーならカルヴァドスが安くて美味しいこと。日本でもそう、常連の多い居酒屋こそ銘酒と珍味に出会える場所。B級でもC級でもない独立したオヤジグルメ。私はここにフランス大衆文化の底力を観ます。
夢路とみこ