フランスにはSemaine du gout味覚週間という感心する運動週間があります。これは米国から流れてきた食文化、ファーストフードやフィンガーフードの影響を受けて食事というものを軽視してきた最近のフランス人食生活に渇を入れようというものらしい。青少年の肥満体の増加は今やアメリカ並み。女性の社会進出によってお母さんがキッチンに立たなくなった。レンジでチンするものばかりが食卓に並ぶようになったと嘆いています。お母さんがキッチンに立たないのならお父さんが立てばよいと私は思うのですが。だって有名なシェフは男性が多いし、女性は感情に並があって味が一定じゃないから料理人向きじゃないと言うのだから。男性諸君、キッチンを君達に開放する、だから私に美味しいものを作って!
[067]ばんちゃん
徒弟制度が根強く残るフランスだから若くして素晴らしい技術を持つ人に遭う事は珍しいことではありません。昔からの徒弟制度がしっかりしている料理界はとても厳しく大半のフランス人修行者が途中で断念してしまう中、若干24歳で、そしてたった一人で22名分のコースミール(オードブル、メイン、デザート)を昼夜作るロレーヌ号の料理人、ばんちゃんには彼の人生を一回り以上上回る私が脱帽。
ばんちゃんがキッチンを任されているロレーヌ号はナンシー近郊からストラスブールまでを6泊7日かけてマルヌ=ライン運河をクルーズするホテルバージ(滞在型遊覧船)、フランス国内の河川や運河をクルーズする弊社の15隻あるうちの1隻。通常は本社で営業や翻訳を担当する私には100名以上いるクルーの全てに会う事はなく、私が船内シェフを知るのは日本人団体の添乗で船に乗る時のみ。