[091]味覚週間

フランスにはSemaine du gout味覚週間という感心する運動週間があります。これは米国から流れてきた食文化、ファーストフードやフィンガーフードの影響を受けて食事というものを軽視してきた最近のフランス人食生活に渇を入れようというものらしい。青少年の肥満体の増加は今やアメリカ並み。女性の社会進出によってお母さんがキッチンに立たなくなった。レンジでチンするものばかりが食卓に並ぶようになったと嘆いています。お母さんがキッチンに立たないのならお父さんが立てばよいと私は思うのですが。だって有名なシェフは男性が多いし、女性は感情に並があって味が一定じゃないから料理人向きじゃないと言うのだから。男性諸君、キッチンを君達に開放する、だから私に美味しいものを作って!


今年お亡くなりになったブルゴーニュの星、ロワゾーさんも生前はTVや雑誌で子供のうちにおばあちゃんの味を教えなければならない、味覚オンチになるてしまうと言及。だからロワゾーさんもこの味覚週間には自分のお店に小学生団体を招いて味の授業みたいなものをやっていました。それは子供達に自分の好きな食べ物の絵を描かせ、その子の日常食生活を伺います。おばあちゃんの味を知っている子はその品を、簡易食品が常用になっている子はレンジでチンのその品。そしてその後は皆でモルヴァンの山の中は入りきのこ狩り、山羊の乳搾りの後はチーズの試食と本物の味を確かめる授業でした。またロワゾーさんのお店でパティシエが作ったお菓子を味わい、スーパーの味しか知らない子供達に本当のおいしさ、素材の持つ自然の味の教育をしていました。
ロワゾーさんが亡くなった今、このようなシェフによる教育は終わったでしょうか。とーんでもございません。語学と同じぐらいに食に拘るフランス人です。他のシェフが同じような事をやっています。アルプスでハーブを使い3つ星を取ったシェフは子供達を連れてハーブ園へ行きハーブの香りをかかせながらその膏薬について語っています。3つ子の魂100までというように子供の頃の体験はその後まで続きます。子供の頃から本物の味に慣れ親しむ、大切な事ですね。私は今、本物の味に馴れ親しんでいます。それも急ピッチで。なんせもう子供でないので先が短いし。。。。
こんな週間、日本にもあれば本当の意味でのグルメが成熟するのではないでしょうか。また最近の食生活が不安定な精神状態を形成しているという問題点の解決に繋がるかも。
夢路とみこ