カラオケ好きの私が一人良くハミングする名曲はシルヴィアとロスインディオスの「別れても好きな人」。この曲の中で「ダメよ弱いから」という歌詞がありこれが全く私の船に対する心情を表している。
解雇通告を受けたその日にオフィスから放り出されたので本来はすぐに就職活動になるはず。でも新経営者陣は私が船へ添乗する仕事もしていたことを露知らず解雇したものだから大混乱。シーズンオフまで誰が添乗するの?このディジョンで3ヶ国語を使って朝から深夜まで働く日本人はいないよ。
[122]船内シェフの仕事
うちの船旅、6泊7日の間、3食も出すのだからいかに飽きさせずフランス料理とその文化を楽しんでもらうように工夫するかはシェフの仕事。通常のレストランのように注文に応じて作るだけでなく、経営者のように予算、カロリーそしてバラエティーの計算もする。そして彼らの腕が私の営業活動の仕事に大きく影響する。
私には料理の三銃士がいます。お客様から頂いた鰹節や漬物で即席フレンチを作るブーちゃんことブノワ、弱冠23才で10年近くのキャリアを持つバンちゃんことシルヴァン、そしてその鋭い感性と冷静な洞察力が料理のみならずホテルバージ運営にまで注意を払うジェーシーことジャン・クリストフ。私は縁があってジェーシーと仕事をする事が多く彼から学ぶことは未曾有。
職人は技術には長けているけれど管理運営となるとさっぱりという人が多い中、ジェーシーの気質に職人と管理職の双方を感じる。確かに料理については拘りもあるようだが、顧客のニーズに合わせるという営業面も忘れてはいない。自分の味を押し付けるのではなく自分の味を様々な嗜好の人に合わせる事で進化させようとする研究熱心さがある、チャレンジ精神旺盛の人だ。