[110a]貴腐ワイン
ワインは後で酔いが効いてくる。口当たりが良いので、クイクイいけてしまうが後が辛い。とくに白ワインには気をつけよう。一本軽くあけたら、次の日は1日仕事を休むことになる・・・
フランス語で「高貴なる腐敗」を意味する貴腐ワインはワインの王様と称えられている。このワインは作ろうと思ってできたわけではなく、偶然によって生まれたものだ。
1775年のこと。白ワインの名産地であったドイツの片田舎で、収穫が大幅に遅れてしまったぶどう園があった。ぶどうは無残にもシワシワにかびてしまい、腐ったかのように見えた。
ぶどう園ではそのまま捨てるわけにもいかず、しかたなくそのぶどうでワインを仕込んだところ、今までに無いすばらしい甘口のワインが出来あがったというわけ。
この貴腐ワインを生んだカビの正体は「ボトリティス・キネレア」という。このカビはぶどうの表面に付着してぶどうの果皮のろう質を溶かす。果皮から中の水分が蒸発して果実の糖質が濃縮され、貴腐ワインの元となる。
このカビは非常にデリケートでめったなことでは発生しない。湿度や気温など天候に微妙に左右される。また果汁も少ししかとれずまさに貴重品。
日本でもワインといえば甲府・勝沼が有名だが、ここでも「貴腐」が発現したことがあったそうだ。しかし、ごくわずかだったため製品化はされなかった。
王様のワイン「貴腐」一度は飲んでみたいワインだ。もちろん次の日仕事が休みの日にね。