[351]イスラム教と豚

2014年8月13日

インドネシア味の素が、化学調味料の製造過程で豚の酵素を使ったとして問題となっています。現地法人では大騒ぎでしょうが、大体イスラム教というムズカシイ宗教の国で商売をしようというからにはそれなりの覚悟が必要なのに、認識不足と言われても仕方の無い事件だと思います。

イスラム教徒は豚肉を食べません。これは崇拝する唯一の神アッラーの教えなのでなんともしがたいのです。豚はまた不浄の動物とされていますので、豚を食べる異教徒に対して嫌悪感を示すこともあるそうです。羊や牛、鶏肉は食べるようです。食べ物で気をつけなければならないのはイスラム圏とヒンドゥー圏でしょう。

インドネシアではイスラム教徒が多いために、その食品に対してハラルという表示を行ないます。豚を使っていなければハラルが認証されるわけで、今回の事件は豚の起因する酵素を使っているにもかかわらず、ハラル表示をされていたということでいわば表示法違反だった訳です。豚の酵素を使っていると明記していれば問題なかったのです。今回の事件は商品を回収することで事態は収拾しそうですが、本来暴動が起きてもおかしくありません。宗教の違いで戦争が起こるくらいですからね。

宗教というのはこのように一歩間違うと怖いものです。特に、イスラム教の国やヒンドゥー教の国に行くときは事前にマナーくらいは学んで行かないとエライ目にあいます。郷に入っては郷に従えと昔のえらい人もおっしゃってますし。

21世紀はイスラムの世紀とも言われています。中東で生まれたイスラム教は冷戦以後の共産圏から脱し、確実に勢力を伸ばしているようです。今回の味の素事件はそういった事情を深く考えるいい機会を与えてくれたのではないでしょうか?

ちなみにインドのヒンドゥー教徒は牛を神とみなし、やはり食べません。仏教徒、キリスト教徒は通常どの肉も食べるのが特長です。これとは別に、ベジタリアンとして肉を食べない人は宗教を越えて世界に広がっているようですね。