[037]人事異動(2)

2012年10月12日

 

企業は、その業務を遂行するにあたって適正な人事権を持つとされています。しかし人事異動はその労働者の生活に重要な影響を及ぼすことも多いので、使用者は慎重に行使しなければなりません。
 
【配転命令】
 
配転(配置転換)とは勤務地はそのままで、職務内容が変わるもの。当然事業所内での移動が伴います。この場合に注意すべきは、権利の濫用にあたらないか、労働者の職種の限定は無いか、ということです。権利の濫用とは、上司の気まぐれ、単に気に入らないとか、嫌がらせなどです。職種の限定とは、最初に技術職で入社したのに、事務職に回された、などです。
 
【転勤命令】
 
転勤は勤務地の変更を伴いますから、労働者にとっては深刻な問題となりがちです。この場合も上記同様に、権利の濫用がないかどうか、就業場所の限定はないか、などを十分吟味します。
 
【単身赴任】
 
色々と問題になる単身赴任については「社会通念上、甘受すべき程度を著しく超えるとは認められない」という判例があって、ほとんど拒否できないし、裁判を起こしても今のところ単身赴任の拒否権は認められません。今のところと申しましたのは、これからは認められる可能性もあるということです。理由は、単身赴任をしていた父親の家庭が崩壊したという実例です。係争中の裁判もあり、今後を期待できます。
 
企業の中でも、先進の企業は社員のやる気を重視しています。単身赴任は社員のやる気を阻害するので、極力単身赴任を刺せない企業も増えてきています。しかし、おおかたの企業は存亡を賭けてそれどころではないですから、まだまだ単身赴任は巾を利かせるのではないかと思います。