[249]読者Q&A『有給休暇の告知義務』

2012年10月28日

読者からの質問
 
私はパート勤務で 勤務年数5年半になります。
つい最近まで有給が取れるということは知りませんでしたしもちろん雇用主からも 何の説明もありませんでした。
(雇用主はパートでも有給があることは 既に知っていました)
 
雇用主は 今後は有給を取る代わりに有給分を手当てとして、給料に上乗せすると言うのですが 勤務半年?有給があったと思うと随分損をした気分で納得できません。
過去の有給分の支払いを請求することはできるでしょうか?
 
■たまごやの回答
 
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
 
『有給休暇の告知義務』
 
事業主が労働者に対して、有給休暇があること、そしてそれが何日あるかということは、事業主の方から告知する義務はありません。しかし、労働者から尋ねられたら、これに応える義務はあります。これを故意に答えない場合は「有給休暇をとらせない」として、法令違反になる可能性があります。
 
・経過した分の有給休暇の買い上げについて
 
現時点で既に24ヶ月以上経ってしまった有給休暇については、有効期限を過ぎているので消滅しています。消滅している有給休暇を取り戻すということは、使用者の不法行為を立証するなど、裁判でも起こして勝ち取るしかありません。しかしこれは現実には難しいと思います。有給の存在を知らず、請求しなかったあなたにも過失があると判断されてしまうと思います。
 
もし、経過分について事業主が今後の給料に上乗せするというのなら、それはなんら問題はありません。臨時ボーナスとして受け取ればいいと思います。
 
・未経過分の有給休暇の買い上げについて
 
勤務5年間全く有給休暇を使っていないのであれば、今の時点で、24ヶ月さかのぼって未経過分の有給があると思いますので、その分を今後有給休暇として消化していくことをお奨めします。有給休暇は非常に強い労働者の権利です。請求されれば使用者はまず承認しなければなりません。もしこの未経過分について、休ませず、その分のお金を支払うということなれば、これは禁止されている行為です。
 
有給休暇が労働基準法で定められ意図は、労働者に対し「確実に休んでもらう」ためだからです。したがって休暇を買い上げることは「休ませない」ことにつながるので、これを禁止しているのです。
 
ただし既に経過している分、年次有給休暇の法定日数を超える分を買い上げることは「休ませない」ことにはならないのでこれを容認しています。しかし、そうなる前に、労働者に対して有給休暇があることを告知し、それを滞りなく消化させるのも管理監督者の役目であるといえます。正しく休んでもらう、のが年次有給休暇の持つ意味だからです。