[128]解雇あれこれ(-6-)自己都合退職

【自己都合退職】

労働契約の終了には解雇と退職があります。解雇は会社が一方的に労働契約を打ち切ることをいい、それ以外を退職といいます。

退職には自己都合退職と会社都合の退職があります。

自己都合退職は自己の理由により退職を申し出るもので、退職の自由は労働者にありますので会社の合意を得る必要はありません。

これに対し、労働契約の合意解約は会社と労働者とが合意して労働契約を終了させることをいいます。つまり合意解約は会社都合の退職となります。

合意解約は会社から申し入れられることがほとんどで、その解約には労働者が納得した上で行なわれなければなりません。もちろん合意せずそのまま就労していても構いません。会社は退職を迫ることはできないのです。

会社都合の退職か、自己都合の退職か、では失業給付に差が出ます。会社都合退職では失業が確認された7日後から失業給付期間となりますが、自己都合退職では3ヶ月間の給付制限期間があります。さらに給付期間も短くなっています。退職するに際しては、その退職理由を必ず確認しましょう。

[127]解雇あれこれ(-5-)定年

【定年】

定年とは、ある一定の年齢に達した時に退職する制度です。通常は労働協約や就業規則で定めます。定年は労使双方の合意による労働契約の期間満了として労働契約が自動的に終了するものと考えられています。したがって定年退職は当然ながら解雇にはあたりません。

しかし、例えば解雇制限中の「業務上の災害による傷病の期間中とその後30日間」に定年の日が来た場合はどうなるのか?という問題が生じます。解雇制限中でも退職定年の日をもって退職の日となるのか、あるいは定年の日を延長しなければならないのか?

そもそも解雇とは労働契約を使用者側の一方的意思で解除することをいいます。定年制度の定めある場合は、労使ともに了解済みのことであるので、解雇制限中の退職は解雇にあたらず、すなわちこういう場合でも定年の日をもって退職とするのが慣例となっています。

ただし、定年退職したあとすぐに嘱託社員などに移行するなど、続けて雇用する制度がある会社の場合は、労働者側に期待感を与えるため、解雇制限中の場合はその期間が終了するまで退職の日を待たねばなりません。その場合は定年の日を延長する必要があります。

なお解雇制限は通勤災害については適用されません。業務上の疾病入院中であっても解雇可能です。定年制度があり、再雇用の慣例がある場合でも、通常どおり30日前に解雇予告すれば定年到達日をもって退職とすることができます。

[126]解雇あれこれ(-4-)解雇制限

【解雇制限】

解雇は使用者が一方的な意思表示によって労働契約を解除することをいいます。一方的な契約解除であるため、労働者にとっては生活にかかわる問題となるため、労働基準法では労働者保護の立場から次のような解雇の制限を定めてあります。

●労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇は無効(労基法第3条)

労働者が外国人であることや、宗教の違い、差別による部落出身であることを理由に解雇は出来ません。

●労働者が労基法違反の事実を労働基準監督署などに申告したことを理由とする解雇は無効(労基法第104条第2項)

労基法違反であることを監督署に訴えたことを理由に解雇はできません。このようなことをすれば、さらに罰則が待っています。

●労働者が労働組合の組合員であることや、組合に加入したり組合を結成しようとしたことなどを理由とした解雇は無効(労組法第7条第1号)

使用者は労働者が組合活動をすることを妨げることはできませんし、それを理由に解雇もできません。

●労働者が業務上のケガや病気で休業している期間及びその後の30日間は解雇できない(労基法第19条)

例えば業務上生じたケガで60日休んだ場合、その後の30日間を含め90日は解雇することができません。業務上の傷病であることが要件ですから、私傷病は該当しませんので注意。

●産前産後の女性が労基法の規定により休業している期間及びその後の30日間は解雇できない(労基法第19条)

産休で休んでいる女子従業員に対しても、法で決められた期間中は解雇してはいけません。

[125]解雇あれこれ(-3-)普通解雇

【普通解雇】

解雇は使用者側からの一方的な意思表示によって労働契約を解除することをいい、整理解雇、懲戒解雇そして普通解雇の3つがあります。

整理解雇は経営危機や事業所閉鎖などの経営規模縮小に伴う人員整理による解雇をいいます。

懲戒解雇は重大な服務規律違反や犯罪行為などにより、企業内の秩序を乱した場合に秩序罰として行なう解雇をいいます。整理解雇が企業側の都合であることに対し、懲戒解雇は労働者の行いに理由がある場合の解雇です。

その他の解雇は普通解雇といわれます。労働者が正常な勤務に耐えられず、労務の提供が不可能になったような場合に行う解雇をいいます。

整理解雇や懲戒解雇は立派な理由があるのに対し、普通解雇は通常の状態で行なわれる解雇なので、特に労働者の不利益にならないように吟味する必要があります。

民法では第一条で信義則や権利濫用の視点から解雇を制限し、また無謀な解雇は同90条の公序良俗の観点からこれを制限しています。労働基準法でも労働者に対して不利益になるような取扱を禁止していますが、これは解雇にも当てはまります。

通常は以下の要件を満たさないと解雇は認められませんが、この要件を満たす事は過去の判例から非常に難しく、大抵のことでは解雇はできないと思ったほうが間違いありません。

  • 解雇の必要性が本当にあるのか?
  • 解雇回避のための努力を尽くしたか?
  • 人選に感情が入っていないか?
  • 説明・協議、納得を得るための十分な手順を踏んだか?

解雇に際し、就業規則や労働協約が無い場合は、やむをえない事由により解雇が可能です。しかし就業規則や労働協約がある場合は、そこに解雇についての定めが有り、それに照らし合せ、定めにあたるかどうかを吟味しないと解雇できないのです。

[124]解雇あれこれ(-2-)懲戒解雇

【懲戒解雇】

懲戒解雇は企業の制裁としての懲戒処分のうち一番厳しい処分にあたります。職場の秩序に従わない労働者に対して課する追放処分です。

解雇の場合は30日前に予告するか平均賃金の30日分の予告手当を支払わなければなりませんが、懲戒解雇は即時に解雇するのが普通です。また退職金を不支給としたり、減額することもあります。

懲戒解雇は、労働者が企業内秩序を乱したときに、企業から一方的に排除する処分ですが、問題となるのはその懲戒事由です。

  • 重大な刑事事件を起こした
  • 故意に会社に多大な損害を負わせた
  • 会社の名誉や信用を著しく傷つけた
  • 正当な理由なく2週間以上無断欠勤した
  • 重大な経歴詐称をした場合
  • 会社に許可を得ず他企業に重複して勤務しているなど

このような非行については事業所内だけでなく、個人の生活の中で起こした事件なども、職場への影響が大きいものは対象になります。

一時期、銀行職員において離婚が懲戒解雇の理由になったという話を聞いたことがありますが、これはちょっと行き過ぎですね。離婚は憲法で保障された国民の権利ですから。

なお、解雇予告なしに即時解雇するためには、労働基準監督署長に「解雇予告除外認定許可」を申請し、許可を受ける必要があります。(労働基準法第20条第1項ただし書)