[133]公民権の行使

公民権とは参政する権利や選挙権、被選挙権という主権者としての権利です。成人した国民ならば誰しも持っている権利です。

ところで、この公民権は仕事中にもその権利を行使できるということをご存知でしたか?

つまり、勤務中に抜け出して選挙に出かけても、会社はこれをダメだといえません。さらに社員が選挙に立候補したような場合も公民権を行使しているとみなされ、会社はその行為を拒んではならないとされます。選挙に当選し議員になった場合は、その公務中も公民権の行使中ですから会社はこれを拒めません。

労働基準法第7条:使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない

しかしながら、それら公民権の行使している期間の賃金を有給とするか無給とするかは会社の裁量によります。したがって勤務中に選挙に出かけることは妨げられませんが、その時間は無給になる可能性が高いですね。

ということで、選挙は早朝もしくは仕事が終わってから出かけたほうがよさそうです。

公民権の範囲(行政解釈、昭63.3.14基発第150号)

1.法令に根拠を有する公職の選挙権及び被選挙権
2.憲法の定める最高裁判所裁判官の国民審査
3.特別法の住民投票
4.憲法改正の国民投票
5.地方自治法による住民の直接請求
6.選挙権及び住民としての直接請求権の行使等の要件となる選挙人名簿の登録の申し出等

これ以外のものは公民権として認められません。住民票を取りに行くとか、印鑑証明を取りに行くなんてのは、平日の昼間しか取れないとはいえ残念ながら認められないのです。

[132]休職

休職とは、会社に在籍したまま長期間の労働義務が免除され、かつ雇用契約はそのまま持続することをいいます。何らかの理由により就業が不可能になったときに、就業規則などの定めにより適用されます。

 

会社の業務上でない事故や怪我、病気などで長期に休む場合は私傷病休職あるいは事故欠勤休職となります。また労働者が刑事事件により起訴された場合は一定期間の起訴休職、労働者が不正を働いた場合は自宅謹慎など懲戒休職、他社に出向している間を休職とする出向休職などがあります。これ以外にも自己啓蒙のため海外留学する場合などの自己都合休職があります。

 

 
いずれの場合も、休職とは労働者の個人事情に起因する点が特長です。労働者都合で休職するわけですから無給であることが普通です。会社都合の休職は「休職」とは言わず「休業」といって区別します。休業ならば無給というわけにはいきません。基準法により平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。

 

 
休職については就業規則に定めるのが普通ですが、労働基準法は休職制度があるときは就業規則等に明記すること以外は特に休職について論及していませんので、内容については自由に定めること可能です。ただし、休職期間は無給であると定めてありながら、実際に就業した場合は、就業規則に無給としてあっても当然賃金支払いの義務は生じます。

 

 
休職期間は勤続年数等で差異を設けるのが一般的で、私傷病休職は数ヶ月から数年、事故休職は3ヶ月~6ヶ月、起訴休職、出向休職等はは事由消滅までとすることが多いようです。

 

 
休職事由がなくなれば休職期間中であっても復職できるのが一般的ですが、更に休職が続くようであれば休職期間の延長、退職、解雇などとなる場合もあります。

[131]解雇あれこれ(-9-)解雇予告手当

【解雇予告手当】

解雇の際は、会社はその労働者に対して、30日前までに解雇予告をしなければなりません。その場合の解雇理由は当然ながら正当なものでなければならないのはいうまでもありません。

30日前(解雇予告の翌日より起算)に解雇予告した場合は解雇予告手当は必要ありません。

解雇予告期間が30日に満たない場合は、その日数によって解雇予告手当を支払う必要があります。

  解雇予告手当=平均賃金x(30日-解雇予告期間)

たとえば、解雇予告が解雇の日の20日前であった場合は、10日分以上の解雇予告手当を支払います。また、解雇予告が解雇の日の10日前であった場合は、20日分以上の解雇予告手当を支払います。

即日解雇の場合は30日分以上の解雇予告手当を支払います。つまり即日解雇したい場合は30日分以上の賃金を支払えば可能となります。

別に解雇予告除外認定という制度があり、労働基準監督暑長からこの認定を受けると解雇予告や解雇予告手当を支払わずに即時解雇することができます。ただし条件があります。

1.労働者の責に帰すべき理由があるとき
2.地震等災害などやむをえない事情により事業の継続が困難になったとき

労働者の責に帰すべき理由とは、刑事事件を起こしたり職場での規律を乱したり悪質な行為をしたときなどをさします。

なお、2ヶ月以内の労働契約の場合や試用期間中で働き始めてから14日以内の労働者については、解雇予告や解雇予告手当を支払う必要はありません。

[130]解雇あれこれ(-8-)退職勧奨

【退職勧奨】

会社から「退職してもらえないだろうか?」と打診されることを退職勧奨といいます。個人的に勧奨するほか、早期退職優遇制度や希望退職者募集も退職勧奨になります。

退職勧奨には法的な強制力はありません。ですから、本人に退職する気がさらさら無い場合は応じる必要はありません。

退職勧奨を断ったためにその後に解雇や報復人事に遭遇した場合は、これはまた別件の「不利益な取り扱い」となって禁止事項に触れることになってしまいます。ですから、単なる退職勧奨については、ただ断ればこと済むはずなのです。

ところが、変にエスカレートして上記のようなことを「繰り返し」言われたり、取り囲んで罵声を浴びせたり、嫌がらせを受けたりするようになると、これはもう退職勧奨ではなく「退職強要」になってしまいます。

退職強要は違法行為ですからもとより従う必要はありません。しかしこうなったら個人で解決するのはムズカシイと思われますので、労働組合や弁護士に相談することをお薦めします。大事なことは決して「辞める」と言わないことです。「辞める」と言ってしまうと撤回するのは難しいと肝に銘じてください。

弁護士など第三者に助っ人を頼む時には、法的に有効な証拠を残しておくことが必要ですので、強要を受けた状況をメモしておく、メールなどを保存しておく、電話や会話を録音しておく、書面は保存しておく、抗議文を送るときは内容証明郵便で送るなどの措置をしておけば万全です。

しかし、ここまでやったら、結果的に会社には居づらくなるでしょう。そのあたりが日本的風潮といいましょうか、ムズカシイところなのです。

[129]解雇あれこれ(-7-)不当な解雇

【不当な解雇】

どのような場合に解雇を行なうのかは、勝手に気分で決められるのではなく、当然就業規則に定めておく必要があります。

就業規則に定めがない理由で解雇はできませんし、無謀な解雇はそれ自体無効となります。

また、同じ理由で、ある人は減給なのに、ある人は解雇というような差別的な処置も認められません。解雇理由はリーズナブルかつ客観的でなければならないのです。

以下の理由による解雇は法律(労働基準法、民法、憲法)で禁じられています。

  • 社会的身分、信条、国籍を理由とする解雇
  • 労働組合の活動を理由とする解雇
  • 労働基準監督署に会社の労働基準法違反を申告したことを理由にする解雇
  • 女性であることを理由とする解雇
  • 年次有給休暇を取得したことを理由とする解雇
  • 産前産後休暇中とその後の30日間の解雇
  • 業務上の怪我や病気の療養中とその後の30日間の解雇
  • 女性労働者の結婚、妊娠、出産を理由とする解雇
  • 産休を申告したことによる解雇
  • 育児休業を申告したことを理由とする解雇
  • 介護休業を申告したことを理由とする解雇

業績悪化のための人員整理と人件費引き下げを狙って、従業員を一旦解雇してその後、より安い給与で再雇用するケースもあるようですが、これは人件費引き下げ操作のための解雇とみなされ、典型的不当解雇です。

また、会社のある部署では整理解雇を行ない、別の部署では新規採用を行なっているケースもあるようですが、リストラに際し新規部署を増強するという理由があれど、解雇されるほうからすれば到底納得できるものではありません。

整理解雇に際しては、配置や部署転換などあらゆる措置を講じたなければなりません。その上で「どうしても」という時に整理解雇ということになります。