[11]レコードとカメラ

2019年3月21日

第11回
■レコードとカメラ
当時は自由に空気銃も持てた時代ですから、母にねだって5円50銭の一番安い空気銃を買って貰ったことがありました。これだってちゃんと中折れ式だし、鉛の3ミリくらいのガン玉を銃口の先から入れるものでしたが、ちゃんと雀くらいは撃てるものでした。
その頃の娯楽は何にもありませんから、夜になると8時には床につくと云う時代でした。夜遅くなると夜回りのおじさんが拍子木を叩いて「火の用心」と叫んで歩いて来るのです。もし何処かで火事があれば、拍子木ではなく太鼓を叩いて「火事はどこそこ」と云いながら歩いてくるのです。「火事は牛込」なんて良く聞きました。牛込と云えば新宿当たりでしょうか?
娯楽と云えば私達の子供の世界では殆ど何もありませんでした。唯父は趣味としてレコードを聴くことでした。それもアメリカ製の二段重ねの蓄音機を買い込んで、下のケースにはレコードが一杯詰まっていました。マークは犬がラッパの前で耳を傾けているものでしたから、恐らくビクターだと思いますが、蓋が開けるのには重く、バタンと閉まるので子供には大変でした。またハンドルでゼンマイを巻くのが大変で父はすましてたばこを吸っているのに子供にゼンマイを巻かせるのです。
レコードは沢山ありましたが、どれも英語で書かれていて、訳の分からない音楽だけでした。だけど父が聞いている姿は殆ど見たことがありません。
その頃父は写真に凝っていたようです。カメラを買ったようです。其のカメラは「パーレット」と云う国産の六桜社(小西六写真のちコニカ)の製品でフィルムはベスト判です。今は此のフィルムは売って居ませんね。此のカメラで家族だの風景だのやたらに撮ったらしく、又家の中で赤い電球を付けて、取った写真の現像、焼き付けも自分でやったらしいです。その当時の色あせた写真2枚とカメラパーレットが今に残されて居ます。
ベビーパール オプター5cmf4.5
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