[24]アイワ

2017年1月2日

モノ作りへのこだわりのある企業といえばソニーと本田技研が筆頭にあげられますが、そのソニーを支えてきたのはアイワだといって過言ではありません。

アイワの創業は1951年(昭和26年)で、当初は愛興電気産業株式会社といっていましたが、1959年にそれまで商品のブランド名として使っていたAIWAを社名としました。創業当時からチャンレンジ精神溢れる製品を作っていて、ソニーと合い通じるところがあります。初期のNHKで使われていたマイクやフォノカートリッジはアイワが作ったものです。

また、カセットが主流になる前にはオープンリール式が主流でしたが、オープンリール式であるにもかかわらずポータブルなテレコを果敢に作りつづけたのもアイワです。使い勝手にも工夫が施され、ワイヤレスマイクにスイッチをつけマイクの手元で本体のテープ走行をオンオフするアイデアや、テープが終わると自動的に電源が切れる節電方式など、使ってみなければわからないモノ作りに対する情熱が覗えます。

1969年にはソニーと技術・業務・資本提携し、ソニーのロープライスの製品はほとんどがAIWAのOEM提供によるものです。例えばソニーの安いラジカセなどはアイワ製であり、それを知っている人はソニーと名がつくだけで高くなるソニー製品は買わず、アイワの製品を買うのでした。

しかし、安物というだけでアイワを馬鹿にしてはいけません。アイワは安物をつくるのが目的ではなく、金の無い若者にいかに安く、しかし性能の良いものを提供するかに頭を悩ませてきたのです。つまり金の無い若者の味方なのです。その精神はいまでも健在であり、録音媒体がカセットからMDに移った現在でも価格的にチャレンジ精神溢れる製品群を世に送り出しています。

ところで、インターネットが一般的になる前のパソコン通信の時代に活躍したのがアイワのモデム。1200bpsや2400bpsのモデムにはお世話になった人も多いでしょう。しかしこの業界も流行り廃りが速く、9600bpsの通信速度になるとオムロンが台頭。それに対抗して14400bpsではアイワは低価格製品で巻き返しを図りましたが、相性の悪さ接続の気難しさで不評を買い、アイワモデムは痛い目にあったのでした。

2001-01-20