日本の車はモデルチェンジを繰り返し、そのことで市場の活性化をしてきた。バブル全盛期まではほぼ4年をサイクルとしてモデルチェンジが行なわれる。
モデルチェンジにはそっくり別物になってしまうフルモデルチェンジと、改良点のみを改善したマイナーチェンジがある。フルモデルチェンジが4年ごとに行なわれるのに対し、マイナーチェンジは1年ないし2年間隔で行なわれる。
欧州車の場合には、フルモデルチェンジというのは滅多に行なわない。設計が古くなり快適性や性能面、安全性などが吟味され最終手段としてモデルチェンジが敢行される。だから設計のよいクルマは10年以上も同じ格好で販売される。例えば名車といわれるフォルクスワーゲンのビートルやポルシェなどはいつ見ても同じ格好をしている。外見は変わらないが内容はこまめに変更され、たゆまぬ努力がされているのも欧州車。したがって10年も発売されているクルマはほとんど完成形に近い。
日本のクルマは売らんがためのモデルチェンジであるから、外側だけ新しくして内容は古いままというモデルチェンジが大手を振って行なわれていた。トヨタのマーク2やクラウンなどは保守的なものを求められていたため、こういった「モデルチェンジの為のモデルチェンジ」の王様といえる。
モデルチェンジを繰り返すと、古い型のオーナーは面白くない。新しいのがほしくなるのを狙った買い替えマーケティングがここにある。欧米のクルマメーカーもこれを狙ってモデルチェンジを頻繁に行なうようになっきた。やはり売れるに越した事はないということだろう。
今は、時代が変わった。売らんがためのモデルチェンジをするメーカーはもはや皆無。内容を充実させ、必要なモデルチェンジしかしなくなった。これはいいことである。フルモデルチェンジはもういらない。これからは今ある車種に磨きをかけ世界に名だたる日本車を育てていってほしいと思う。
ちなみに新車を買うときは、フルモデルチェンジ発表直後は避けよう。メーカーは練りこんで新車を作り出すが、それでも思わぬトラブルが発生することがある。1年後くらいのマイナーチェンジではそれらがほぼ解決されているはずだからトラブル無しに乗ることができる。ねらい目は一回目のマイナーのあと。これは覚えておいて損はない。
また、フルモデルチェンジが雑誌などで発表されると現行車は、そのモデルの最終型になってしまう。当然人気はなくなる。このときに、ディーラーのストック車を、色や仕様にこだわらずに、安く買う。すでにクレームは出尽くして、製造品質が高くなっており、出来のよいクルマになっているから、これも買い、である。ただ細かい仕様や装備は指定できないけれど。