クルマにかかわる省庁といえば、運輸省と通産省。これらは来年の中央省庁再編で、国土交通省と経済産業省に変わります。現通産省大臣は平沼赳夫氏、運輸大臣は扇千景氏です。扇氏は国土交通省の大臣になることが決まっているようですね。
扇氏といえば参議院選挙でタレント候補が乱立した昭和52年の第1期生とも言える議員です。この頃は、有名だというだけで当選する全国区というのがあって、その為に自民党がタレント候補を山のように担ぎ出した時期です。その遺物とも言えるものでしょうね、扇氏は。
参議院というのはその目的は知識人によって法を吟味するというものです。対する衆議院は政治のプロ集団。参議院は識者の意見を聞くというのが主旨だから、参議院議員はいつまでも参議院議員であるべき。意見するのが仕事だから、意見される大臣にはなってはいけないんだと思うんですけどね。
扇氏を悪くいうつもりはありませんが、彼女はもともと芸人です。芸人は芸人においてプロでありますが、政治に関しては素人です。芸人が政治に向かないのは、横山ノック氏や青島幸男氏で立証済み。
また扇氏は保守党党首ですが、党の名前からしてなんか変ですよね。政治というのは変わっていくものだから「革新党」というのはわかります。しかし、保守というのは現状維持です。何も変えないという意味がありますよね。それでは困ります。
ま、このような扇氏が大臣になってしまう現実は、いかに日本の政治家に人材がいないかを如実に示していると思います。
さて、クルマのハナシです。例えばアメリカ車を輸入して国内で走らそうと思ったら、この運輸省と通産省を避けて通ることはできません。
貿易摩擦というのがあります。アメリカはアメリカの車を日本に売りたい。ところが輸入車は通産省が関税をかける。運輸省には厳しい車検という制度があり、それを通過した車でないと道路は走っちゃいかんと言われるのであります。
これを聞いたアメリカはなんでだ?と怒る。アメ車のできの悪いのを棚に上げ、通産省には関税を下げろ、運輸省には車検緩和を要請する。関税は安くなりましたが、車検は相変わらず厳しい。今でこそ車検はかなり緩和されましたが、1970年頃にアメリカ車を輸入した場合、非常に厳しい車検を通過しなければならなかったのです。
例えばドアミラー。今でこそドアミラーが主流でフェンダーミラーを選ぶには逆にお金を払わなければなりませんが、当時はクルマは「フェンダーミラーでなければならない」のです。しょうがないから、ドアミラーをはずし、プラスチックでできた簡単なミラーをフェンダーに「両面テープ」で貼りつける。
方向指示灯。俗に言うウインカーです。これは運輸省の規定で「黄色」でなければならない。ところがアメリカ車は赤色なのである。しょうがないので、トラックにつけるような黄色のランプを買ってきて、バンパーに穴をあけ、そこにネジ止めする。配線は内部からひっぱるのだが、黄色ランプ周辺は線が露出されている。なんともかっこ悪いですがこうしないと車検がとおらない。
という具合に、色々工夫して、車検を通すわけですが、いったん車検がとおれば、今言ったようなものはすべてオリジナルに戻して道路を走る。まったく何のための車検かわかりませんが、それが制度というものです。
当時は、そういうわけで通産省より運輸省のほうがハバをきかせていました。今はどうかというと、景気対策や外交の問題が急務となり運輸省より通産省のほうが発言力があるようです。これは各省庁の大臣の上下関係もあると思いますけどね。
なお、以前私がアメ車を取り上げた時にこき下ろしたので、私がアメ車嫌いだと思ってらっしゃる読者さんがいるようですが、そんなことはありません。私はアメ車好きです。ただし、昔の大きなアメ車ね。最近のアメ車は日本市場にに媚びた作りになっていてアメリカの匂いがしません。このようなアメ車はつまり私が言うアメ車じゃないので好きではありません。
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