タクシーには2種類あって1つが法人タクシー、そしてもう1つが個人タクシーです。今は過当競争の中にあって日本のタクシーの質は世界に誇れるほどで、法人タクシーと個人タクシーの差はほとんどありません。しかし、個人タクシー制度ができた頃は、法人タクシーは「神風タクシー」がと異名をとるほど乱暴な運転が有名だったのです。
今から42年前の1958年、東京はそんな神風タクシーが横行していてそれが国会で問題になりました。神風タクシーの原因はドライバーの粗暴さではなく、タクシー会社が厳しいノルマを課したからです。そのためドライバーは早く目的地に着くために違反ぎりぎりのやむをえない運転をせざるを得なかったのです。その割には事故は少なかったようです。もともと熟練であることと、スピードを出す分それなりに運転には注意をしていたということでしょう。
これではいけないということで、タクシー業界は翌年の1959年に個人タクシー制度を確立。初免許を得た173人で個人タクシーの営業が始まったのでした。個人タクシーは、マナーが良い、安全運転、運転士が紳士である、クルマがきれい、などの利点が受けて大変人気が出ました。タクシー乗場で並んでいても、女性客などは個人タクシーを選んで乗っているほどでした。
個人タクシーの質がいいのはそれなりに訳があります。法人タクシー、つまりタクシー会社の乗務員になるには第2種免許を持っていれば採用されます。しかし個人タクシーを営業するには審査がかなり厳しいのです。
・経験:タクシー運転手等の経験10年以上
(35歳未満の場合は同一タクシー会社に限る)
・地理:申請する事業区域での経験3年以上
・表彰:運輸大臣等の運転者表彰経験があれば有利
・安全:申請前3年間無事故無違反
(35歳未満の場合は10年間無事故無違反)
・資金・設備:すべて個人負担
・営業本拠地:住居と営業所が同一であること
つまり、個人タクシーを営業するには、法人タクシー経験者でなくては無理ということです。当然年配者で熟練者ですから、その質は法人タクシーの比ではないということがうなずけます。
また、料金面でのメリットもあります。意外と知られていないですが法人タクシーより個人タクシーのほうが若干料金も安いのです。タクシーをよく利用する人は要チェックです
小型車の場合 法人タクシー 個人タクシー
初乗り2kmまで 640円 630円
加算料金 299m80円 290m80円
低速加算料金 1分50秒毎80円 1分50秒毎80円
来年2003年にはタクシー業界も規制緩和で競争の原理が働き、サービス面で期待できるようになります。まずは、とにかく高いタクシー料金をどうにかしてほしいものです。