SUVとはSpace Utility Vehicle(スペースユーティリティビークル)の頭文字をとったものです。語源からいうと多目的な空間を持ったクルマ、つまりバンをいいますが、世間ではパジェロやランドクルーザーのように4WDでどこでもガンガン走れるクロスカントリーなクルマを指していいます。
具体的な車種で言えばトヨタランドクルーザー、ニッサンサファリ、三菱パジェロ、いすゞビッグホーン、マツダプロシード等です。もう少し広義に捉えれば、ステーションワゴンや、1BOXカー、そしてミニバンなどのRV車も含まれると思います。しかしここではヘビデューティな本来のSUV4WD車について述べていきたいと思います。
SUVのはしりといえば15年ほど前からのパジェロ人気ですが、普及させたのはトヨタのハイラックスサーフでしょう。トヨタにしてもニッサンにしても本来のSUVはそれこそ本当に丈夫に作らなければなりませんでした。ランドクルーザーやニッサンサファリは10万キロはもちろん20万キロ走っても大丈夫なようにエンジンもボディも頑丈に作られています。その代わりに価格も非常に高い。ごつい部品を使っているから当たり前です。
そこに登場したのがトヨタのハイラックスです。もともとは1tピックアップトラックのハイラックスの荷台にレジントップのハードトップを付け、4人乗れるようにしたのが大ヒット。価格も安く、しかも4WDもある。見た目もハードでワイルド心をそそる出来でした。
しかし乗ってみるとそこはトラック。ドライバビリティのかけらも無くプアな乗り心地だったのです。そこから15年メーカーの努力により、SUVも見まがうばかりに成長しました。性能だけでなくファッション性も身につけ華麗に変身したのです。SUVは都会にも似合う車となっていったのです。まさにバブル。
そして2002年。ビッグホーンやヴィークロスなど持ち前のディーゼルエンジンを搭載したいすゞがSUV市場のみならず乗用車部門からも撤退しました。いすゞだけでなく、色々なメーカーもSUVを作りはしますが、売上はイマイチです。しかし考えてみれば当たり前。SUVは大きく重たく維持費がかかり金食い虫です。しかし山や砂漠で生活するには欠かせない。そういう環境で暮らすにはSUVは命綱です。ケチるわけにはいきませんし、メーカーもそれなりに心してクルマ作りをしなければなりません。
しかし現実にSUVが走るのは都会。そもそも都会を走るのにSUVは不要です。そんなクルマこの不景気な時代に売れるわけがありません。消費者は馬鹿じゃありませんから金食い虫のSUVから家族みんなが乗れて便利なミニバンへと市場が移行していきます。
ちなみに2001年と2002年の新車登録台数を比較しますと、4WDSUVは前年比76%、1BOXは前年並み。ミニバンとステーションワゴンがやや前年を上回るといったところ。メーカー自体がSUVを減産しているので当たり前といえばそうなのですが、新型車がステーションワゴンやミニバンが多いので今後もこの傾向は増えていくと思われます。
一度は乗りたいSUVですが、一度乗れば十分というのもSUV。これを乗り継いで行こうという人は、仕事で工事現場を往復するとか、普段山林に乗り入れる必要の有る人に限られると思います。そういう意味ではライトでファッション性の有るSUVは無意味。SUVが頑丈さが売り物、そういうスタンスをメーカーには守って欲しいと思います。