平成12年4月1日施行の道路交通法により、自動車の運転者は、幼児用補助装置(いわゆるチャイルドシート)を使用しない6歳未満の幼児を乗車させて自動車を運転してはならない、と決められています。(道交法第71条の3第4項)
シートベルトの着装義務のときも思ったのですが、確かにシートベルトもチャイルドシートもつけていないよりはつけたほうがましだといえましょう。これには異論はありません。しかし私が憂うのは、このような着装を法律で義務付けるということです。
シートベルトやチャイルドシートは安全だから運転者が研究してその安全性を知って、選んで自主的に装着するように啓蒙しなければなりません。それが教育であり政治だと思うわけです。ただ単に教育もせず法律で頭ごなしに義務付けるのは高校の前時代的な校則を生徒に押し付けるのと似ています。
またよくある資料に、装着している場合としていない場合と比較し、装着しているほうが安全だとする論法も勘弁してほしいものです。事故は同じ状況で起こるわけがありません。またシートベルトをしていれば助かった、などという報道も結果論であり無責任といえましょう。
運転者として、同乗者の安全を確保するのは法で取り締まられる以前の問題です。大人はシートベルトをし、子供はチャイルドシートを装着する。これは運転者の安全対策として当たり前のことです。要は安全を確保する運転をすればいいのですから。
とだらだら文句を言ってもしょうがないので、クルマのメーカーさんにはシートベルトもチャイルドシートも不要な安全なクルマを開発していただくとして、チャイルドシートについて本題に戻りたいと思います。
クルマは動いているときはそれほど感じませんが、速度を増せば増しただけ慣性運動が働いています。これが何らかの拍子に急停止したとき、たとえば助手席に座った人が体重10kgの乳児を抱いていたとした場合、50km/hの速度で壁に衝突すると、子供の体には300kgの力が加わります。とても支えきれませんね。300kgの力は子供の頚骨を折り脳挫傷させることなんか容易いです。しかしチャイルドシート正しく装着していればなんとか支えることができます。
チャイルドシートは子供の成長度と車種に合わせて購入する必要があります。5つ子ちゃんの場合チャイルドシートは5つ必要です。大変ですが仕方ありません。ただしクルマによっては5台のチャイルドシートの装着が無理な場合もあります。そういう時は人数分足りなくても最大限の装着をすればいいとされています。またタクシーや乗り合いバスも免除されています。
チャイルドシートの取り付け方法は、製品によって異なるため、それぞれの取扱説明書に従って取り付ける必要があります。多くのチャイルドシートは、自動車のシートベルトを用いて座席に固定する方法が主流ですが、シートベルトはELR式といって緊急時にはロックがききますが普段はロックされていません。これはチャイルドシートを固定するときにちょっと不便です。
そこで登場したのがチャイルドシート固定機能付シートベルト(ALR付ELR式シートベルト)です。これは通常はELR機能ですが、シートベルトをすべて引き出せばALR機能(自動ロック付巻き取り装置)に切り替わり、ベルトが引き出せなくなるものです。
この方式のシートベルトはチャイルドシートの取り付けに緩みが生じにくく、取り付けに便利です。チャイルドシートを好むと好まざるとにかかわらず装着しなければならない人は、クルマを選ぶときにこんなところにも気をつけるといいと思います。
最近ではクルマ最初からチャイルドシートが装備されているものもあるようですが、子供の成長に合わせてこまめに変えなければならないのがチャイルドシートです。子供の成長に合わせて適当なサイズのチャイルドシートが市区町村から無料で貸し出されるのが理想でしょうね。