ホンダのフィットが2002年で一番売れたクルマとなったようです。国内新車登録台数25万台。33年間首位を守ってきたトヨタのカローラは22万6000台と敗退。フィット初の年間首位が確定しました。
カローラといえば自他共に日本の大衆車として君臨。初代カローラからコンパクトなファミリーカーとしてロングセラーを誇ってきました。しかし一方で個性の無いクルマの代名詞としても使われてきたことも事実。その昔BMW3シリーズが六本木カローラと揶揄されて呼ばれていたこともありましたね。
世の中にはクルマが好きな人も多いけれど、よく分からない人も多いと思います。そんな時、トヨタなら安心だろう、そして一番売れているカローラなら間違いないだろう、とそういう理由でカローラを買っていた人も多いでしょう。
それはそれで立派なことです。それだけの信用を得るには並大抵の努力ではないことは確か。しかし私のようにこだわりの有る人間は間違ってもカローラは買いません。クルマなんて快適に動けば何でもいい、という人が買う車、最大公約数的なクルマ、それがカローラだと極言することができます。つまり、カローラを買う理由が「カローラがいい」ではなく「カローラでいい」だったのです。(注:歴代カローラGTを除く)
しかし、昨今のデフレによる不景気は消費者の財布の紐を大いに締めさせます。「~でいい」なんて安易な選択はしないのが当たり前。クルマを買うにあたって大いに吟味するようになってきたといえます。その結果となって現れたのがフィットの販売台数です。「フィットでいい」じゃなくて「フィットがいい」という選択理由です。
2001年に発売されたフィットは、カローラよりひと回り小さい車体ながら、燃料タンクを中央に置いて広い室内空間を確保し、折り畳み自転車などのレジャー用具も積めるように工夫。クルマの設計に理念が随所に溢れています。もちろん燃費もリッターあたり23キロ走る業界のトップクラス。そしてなによりかっこいい。ホンダは商品作りがうまいですねぇ。選ばれる商品作りが今後の企業には欠かせないことが実証されたいい例です。
ちなみにカローラGTを除くと注記したのはそれなりにわけがあってのこと。カローラGTはカローラであってカローラでない、知る人ぞ知る名車だからです。その話はいずれまた。
あと毎度のことですが、今回も「カローラを馬鹿にするな」というメールはご遠慮願います。私はカローラの良さを知っているからこそこういうコラムが書けるんです。カローラオーナーの皆様には大事に末長くカローラに乗っていただきたい。
■2002年の国内新車販売ランキング■
(日本自動車販売協会連合会調べ)
順位 車名 販売台数(万台)
(1)フィット(ホンダ) 25.0
(2)カローラ(トヨタ) 22.6
(3)マーチ(日産) 13.9
(4)イスト(トヨタ) 10.3
(5)ヴィッツ(トヨタ) 10.0
(6)ノア(トヨタ) 9.7
(7)エスティマ(トヨタ) 9.5
(8)ヴォクシー(トヨタ) 7.7
(9)キューブ(日産) 7.5
(10)モビリオ(ホンダ) 7.2