クルマに乗っていれば必ずついて回るのが事故です。自分だけは大丈夫といっても事故はもらうこともあります。いざという時のために、自動車保険は欠かせません。
自動車保険には、強制保険と任意保険があります。強制保険は通称「自賠責」といっています。これは自動車損害賠償保障法に基づいて、すべての自動車について契約締結を義務づけられた強制保険です。
クルマを運行させるには車検を取らなければなりませんが、車検を取るときに自賠責は加入しなければ車検を受けることが出来ません。ということは、車検を取って乗っているということは、自賠責は付いているので「自賠責がついていないのでは?」という心配はありません。車検が切れていたらマズイですが。
万一事故を起こして、相手に怪我を負わせたり死亡させたりした場合は、損害賠償の責務が生じます。自賠責保険はそんなときのための最低の保証をしてくれます。自賠責保険の主旨はドライバーを賠償責任から守る意味もありますが、元々は、被害者を救済するためのものですから、ドライバーに重大な過失があっても保険金は支払われるのが普通です。
自賠責の保険金額は現在以下のようになっています。(2002年4月改正)
・1名あたり傷害120万円
 (1)介護を要する後遺障害
  常時介護 4,000万円
  随時介護 3,000万円
 (2) (1)を除く後遺障害
  障害の程度に応じ
  75万円?3,000万円(第14級?第1級)
・死亡3,000万円
これで見てもわかるように、実際死亡させてしまった場合など3,000万円で足りるわけが無いのです。また、自賠責は【対人】しか保険がおりません。物を壊してしまった時などは自賠責は無関心です。つまり自賠責では安心は買えません。そこで登場するのが任意保険です。
任意保険は保険会社が独自の商品を打ち出して色々なものが出回っていますが、基本的には自分の運転状況に照らして、適正なものを選ぶことが大事です。余計なものをつけるとめちゃくちゃ保険料が高いので。
重要なポイントは、まず【対人】は無制限にします。ここでケチってはいけません。無制限にしたところで保険料はそう高くなりません。【対物】もできるだけ高額保証出るようにしておきます。公共の施設を壊した場合など、相手を死亡させるより大変な額になったりしますので。また【搭乗者】保険にきちんと入っておくのも同乗者に対する思いやりといえるでしょう。
任意保険が高くなるポイントは運転者の年齢と、自損による車両保険です。これらは状況に応じて十分に吟味します。18歳の人が複数運転する場合は、年齢制限を無制限にしなくてはなりませんが、18歳でもそれが家族に特定されるのなら、家族特約で保険料がぐっと安くなります。
年齢は無制限、21歳未満不担保、26歳未満不担保、などがありますが、年齢にかかわらず保険が出る無制限が一番高いのはいうまでもありません。クルマを複数持っている場合で18歳の人が運転する場合は、全部のクルマを無制限にすると保険料でえらいことになりますので、運転するクルマを特定するなどの方策が効果的です。
また家族特約は家族が運転する時のみ保険が出ますので、18歳の人がドライブに行って友達に運転させることはやめたほうがいいです。もし事故を起こしても保険はおりません。
保険料が高くなるものに、車両保険があります。車両保険にも色々あって、一番多い「当て逃げ」でも出る保険は高く、受ける損害の種類を絞ったものは安いです。また、車両保険には、免責というのがあって、損害が20万円あった場合に20万円そっくり出るもの、10万円は自分で負担するもの、5万円は自分で負担するものなどいろいろあります。もちろん、全額出るのが一番高いです。
しかし、車両保険にどうせ入るのなら、当て逃げでも全額出るものがいいですね。中途半端に入っても、審査の結果出ないなんてことになったらなんにもなりませんから。車両保険は新車のうちは入ってもいいと思いますが、私みたいに中古車を乗り継いでいるような場合は、ほとんどメリットが無いので、私は車両保険には入っていません。
最近は、不景気なことと、一家に複数台のクルマを所有するようになったせいか、任意保険に入っていないクルマが多くなったと聞きます。無保険車にあたった場合、裁判を起こしたところで損害賠償金はほとんど取れませんので、そういうときでも当座の保証が受けられるように、任意保険は十分吟味して加入しておきたいものです。結局自分や自分の家族は自分で守るしかないのですから。
2000/08/07(原文)
2006/07/16(加筆修正)

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