交通事故でケガをしたとき、健康保険が使えないと思っている人がいるようです。しかし、そんなことはなく、健康保険を使って治療することが可能です。
健康保険は健康保険法により「業務外の事由による疾病・傷害」をその保険給付の対象にしているので、交通事故にも適用されるというわけです。(大阪地裁の判例:昭和60年6月28日判決)
また、自賠責保険などの他の保険との優先兼ね合いも特に規定しておらず、他の保険が出るからといって、健康保険が使えないということもありません。病院側から健康保険の適用を制限されたり拒否されるということもありません、というかないはずです。
むしろ、病院側でも治療代の取りっぱぐれが無い分、健康保険を使っておいたほうが良い場合のほうが多いといえます。治療代を加害者が払うというような約束になっていても実質払われるのはかなり後か、あるいは支払い不能ということもあるからです。
また、被害者にも過失がある場合は、治療代の部分も相殺されることも無いともいえないので、健康保険を使っておけば安心ということもできます。
交通事故の場合に健康保険を使う場合は一定の手続きが必要です。まずは健康保険証をかかる病院に提出し健康保険を使う申し出をします。そのあと保険組合などに連絡をし、以下のような関係書類を提出します。

  1. 第三者行為による傷病届
  2. 事故発生状況報告書
  3. 念書
  4. 誓約書(加害者またはその保険会社による)
  5. 交通事故による負傷届(国民健康保険では第三者の自動車保険関係調書)
  6. 交通事故証明書(原本または写し)

これらは、警察、相手の保険会社などで手に入れることができます。手続きは難しいことは無く、病院でも教えてくれます。
なお、業務中(通勤途上を含む)と認定される場合の交通事故については、健康保険は使用できません。この場合は労災保険、もしくは自動車保険でまかなう事になります。
2001/10/29(原文)
2006/07/16(加筆修正)

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