[274]フランス旅のマナー(2)/夢路とみこ

私もお気に入りのブランドがあるからブランド好きを貶す訳じゃないけど、商品に相応しいエレガンスも身につけようよ、と声を掛けたい。シャンゼリゼにある某有名ブランドの本店へ大型スーツケースを引きずりながら他の買い物客を押し分けて入店するOL風日本人を見る事数回。帰国便に乗船する前のラストショッピングなんでしょう。でもシャンゼリゼは空港内の免税店ではありません。世界中のエレガンスが集中する場所。やっぱりこのような大きな荷物はどこかに預けてから、バッグのみのスマートな姿で入店してもらいたい。フランスのTV局はどこから撮影しているのか、このような格好の悪いところだけ私たちのイメージで流す。

たまーに出かけるミッシュランの星付きレストランで見かける事。ドレスコードはさすがに皆さん守ってらっしゃる。でもこの手の店は、食前酒、後に食後酒とフルコースで楽しむものであって、パッパッと食べて、はい、さよならという店ではありません。食事の時間に2,3時間かかり、量も普通の食事の3回分くらいあるのでその前後の食事をうーんと控えて体調を整えないと食事中にダウンと言う事もあり。またこの手の店でチップにコインじゃらじゃらはちょっと恥ずかしい。従業員の雰囲気作りやきめ細かいサービスは対価を付け難い努力だから、食事をする人数に合わせて10ユーロ札を数枚さらりと置くのがやっぱり綺麗かな。

これは星付きだけじゃないけれど、ある程度クラスのある町中のレストラン、ホテルのレストランでのお食事ではミネラルウォーターを注文するのがスマート。カラフ入り水道水がマナー違反でなくとも、クラスのイメージを大事にするフランスではTPOを重視し、それに寄ってサービスにも差があります。ある意味では「客を客と思っとらんのか、おんどりゃは!」と言いたくなる程の冷たさが。またこの手のレストランでは、飲めなくてもグラス1杯くらいのワインを注文するのがお洒落。それは乾杯用でもあり一種の飾りでもあります。無駄な料金と思わず、その位に予算と気持ちに余裕を持ってお出かけ下さい。

ホテルのバーとかカジュアルなレストランでデートをしていて(私をデートに誘う勇気ある男性もこの世に存在)王子様と野獣が交差する瞬間、お釣りの小銭をチップとして残さず全部拾う時。気が利く人なら更に上乗せしてか、小銭をお札に替えて置かれる方もいて大変スマート。大人の世界を感じます。

<続く>

夢路とみこ
ブルゴーニュ通信局