[123]個人ワイナリー見学のマナー

今号は夢路とみこさんの寄稿でおおくりします。

■個人ワイナリー見学のマナー

昨年のテロ事件から観光客が一時減少したものの米国人が元気に旅行し始めたのと、本格的な観光シーズンに入ったせいか私の住むブルゴーニュでもガイド本を片手にする日本人観光客の姿をまた見かけるようになりました。

ブルゴーニュを訪れる観光客の目的はまずワイン。この地方の著名ワインを一気に飲み尽くすのであればワイン首都であるボーヌへ行くべし。そこには大きなネゴシアン(ワイン卸商)のカーブが数件あり僅かな入場料で銘醸街道を一周出きる様なもの。こんな贅沢な事はない。

ボーヌ観光局で「ボーヌパス」なる一日観光パスが購入可。それを利用すればカーブでの試飲や観光トレインで城壁の外に広がる葡萄畑も見る事が出来ます。またそのパスは白ワインで知られるムルソー村のシャトームルソーやロゼワインで知られるシャトーマルサネーなども割引料金で試飲見学が出来るというもの。

またブルゴーニュには幾つも一般公開している個人経営のワイナリーがあります。もちろん見学は事前予約が必要ではありますが、その殆どが無料です。無料と言えども先方は自分の畑のワインを宣伝する目的で一般客に公開するのであって趣味や慈善事業でないと言う事をお忘れなく。

これらのワイナリーはその殆どが小規模にしっかりしたものを作っている所が多く、見学と言えども提供してくれる試飲メニューもその力量が感じとられるものばかりです。しかしそれを味わうだけで「ハイ、ゴチソウサマ」と去って行く日本人観光客に不満を抱いている所もあるようです。観光ワイナリーではないので入場料を取るのもおかしいし、こちら側もチップでは変。

やはりマナーとしてはそこで一本購入するのが望ましいです。日本まで重くて持ちかえれないのなら宿泊先のホテルでワイングラスを借りて(この時はチップが正解)飲み切ってしまいましょう。購入すると言えどもそれ程高額なものでなくお手頃な所で良いんです。そうする事により観光客としての面子は保たれワイナリー側としても納得が行きます。

ワインが好きでわざわざフランスまで見学に来るのであればしっかりとその美味しいところを堪能して下さい。そして、節度ある態度とマナーで次ぎの観光客のために道をお譲り下さい。心無い観光客が増えると素晴らしい作り手はどんどん観光客の見学試飲を拒むようになり、ワイン愛飲家のひとりとしてそれを残念に思わずにはいられません。

夢路とみこ

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「ブルゴーニュ通信局」