第95回 インフルエンザ

2019年3月16日

こんにちは、永礼 盟です。ご購読ありがとうございます。

インフルエンザが流行っています。この病名を子供の頃から聞いていましたが、こうして介護施設で働いていると、恐ろしい感染症だと思い知らされます。

発熱した方がいらっしゃいました。熱以外は元気で食堂で食事をされていました。熱が高い事と、下がらない事で検査キットでインフルエンザかどうか調べてみました。その方の反応は、プラスでした。それが始まりです。

インフルエンザB型で、お部屋で絶対安静でした。しかし、一日中居室に居る事は出来ず、必ず部屋から出て来てしまわれます。それを見つけると、部屋に帰ってもらう声かけに一苦労です。「松長さん、インフルエンザだからお部屋に居て下さいね。」と言って戻ってもらいますが、何分もしないうちにまた出来てしまいます。その状態を、仲のいい利用者に愚痴って居る時もあり、インフルエンザが流行る事は避けられなかったのかもしれません。

松長さんがクリアになって何日もしないうちに、向かいのお部屋の方が発熱しました。様子観察の後、検査してみるとやはりインフルエンザでした。このように、同じフロアにアッという間に広がって行きます。

何週間が過ぎると、違うフロアにもインフルエンザが飛び火しています。おそらく食堂で席をともにされた時にうつったと思われ、今度はそのフロアでの対応に追われそうです。

とにかく水分補給が第1なんですが、飲まない人や認知症の方は苦労します。水ではなくポカリを作ったり、ゼリーにしたり、一工夫しないと水分補給になりません。その日の担当フロアだったり、夜勤だったりすると、とても苦労します。食べられない人には食事介助が必要ですし、水分を飲まない人には無理矢理にでも飲んでもらう必要があります。もう一つ大変なのは、部屋から出て来てしまい、お部屋に帰ってもらわなくてはいけない事です。声かけして、自分がインフルエンザである事を理解出来る方なら良いですが、認知症の方と鬱症状の方は声かけだけでかなりの時間を費やします。

抗生物質と熱冷まし、水分補給に食事量、良くなりますがまた違う人へと感染します。それは職員にも飛び火し、インフルエンザに苦しむ人が後を絶ちません。職員の少ない中、インフルエンザと通常業務に追われます。

数週間が経ち、やっと落ち着いて来ました。長い闘いだったと思います。間もなくインフルエンザが撲滅できる所までこぎ着ける事ができました。あと少しでこの闘いも終わりそうです。

利用者の苦しむ顔を見たくありません。職員にも休んで欲しくありません。もうすぐこの悪循環ともお別れ出来そうです。春の薫りとともに、少なくなって行くインフルエンザにホッとする自分がいるのでした。

2005.03.06

永礼盟