第13回-夫婦愛っていいな~
こんにちは、稲垣尚美です。梅雨のような天気。
うちの施設によしのさんという方が、入所されてます。5年前に入所された時は、なんとか歩かれてました。痴呆の方です。
母性心の強い優しい方で夜中にお部屋を訪ねたりすると「こんな遅い時間に眠いでしょ。ここで寝てったら」と自分の布団をもちあげて隣で寝なさいと言ってくれるのです。あまりに眠いとその言葉にぐらっとくることもあります。(笑)もちろんそこで寝てしまったら、仕事は、すすんでいかないのでお誘いにのるわけには、いかないのですが。でも、うれしいですね。そんな言葉をかけていただくと。
よしのさんは、自宅にご主人が、いらっしゃいます。たまに面会にみえますが、やはり優しい方です。だいぶ前ですが、ご主人がよしのさんの手をとって「苦労をしてきたな」と涙を流されているのを偶然、見てしまいました。年齢がいってもあんなふうにいえる夫婦っていいな~って職員間で話題になりました。
ところが、最近、ご主人から妙な電話が施設にかかってくるようになりました。「うちのよしのが、そちらで働いているのですが、電話口までお願いします。」と。
ここ1~2年のよしのさんは、脳梗塞を再発して歩行もできなくなり、会話もほとんどできなくなっています。ご主人もそのことは、充分わかっているはずです。それなのによしのさんのことを職員だと思っているようです。
ご主人も痴呆になりかけてきたようです。電話にたいする対応は、「今、よしのさんは手がはなせないので・・」などと電話に出ることができない理由を言ってやんわり断ります。
痴呆の方は、現実逃避が、よくみられます。ご主人もよしのさんの現在の状態を受け入れたくないのかな。
2002.05.26