9月上旬に東京ビッグサイトで開催されたギフトショーに2日間行きました。出展者2200社、来場者18万人というパーソナル・ギフトと生活雑貨の日本最大級の国際見本市です。同行したのは香港の百貨店の社長以下買いつけチーム、そして香港の貿易業者です。私は別途香港資本の中国の専門店チェーンのための商品探しもかねていました。
海外の見本市は商談の場です。当然、香港からやって来た彼らは新しい業者や商品の発掘が目的で、気に入った商品を見つけるとどんどん交渉を始めます(と言っても私が通訳をしながら自分も交渉に加わっているのですが)。納得したところで、香港人の彼らはブースにすわりこみ、自社のフォーマットの発注書にどんどん記入していきます。決済は日本円の前払送金ですから、業者にとってもリスクはありません。
ところが、日本の業者側は恥ずかしいほどビジネスをする体制になっていないのです。発注書に記入している彼らを遠巻きにしてひそひそと何が起こったんだといわんばかりの企業、価格をたずねると「値段のわかる者は帰ったんです。明日なら来ますけど。」とあっけらかんとした企業。はなはだしきは「今日は商談はダメ、ダメ。」と偉そうに手で払いのける企業。あきれた企業、失礼な企業のこれも日本最大級の見本市です。
「来週お伺いしますから。」「後でカタログを送りますから。」と名刺だけ取って何の音沙汰もないのが数社。面倒な事はどさくさにまぎれて忘れたふりをしようという魂胆でしょう。一方、特に催促をしないでも来場の御礼やカタログを送ってくれたのが数社。後者については、ほとんど発注をしました。案の定、一事が万事で正確で迅速な気持ちの良い対応を得られました。
これだけ大規模の見本市になると出展業者の思惑もさまざまです。会社の知名度をあげたい、新開発の商品を展示して反応を見て商品化を決めたい、全商品の実物を既存顧客に見せる機会などいろいろでしょうが、基本はビジネスの拡大にあるはずです。この不況のなか来場者も真剣です。アジアを中心とした海外からの来場者も急増しています。準備期間から大変なのはわかりますが、出展者には、さすが日本と思われる、きめ細やかで垢抜けた対応をしてほしいものです。
私自身は、来場者のみならず、出展者、主催者といずれの立場も経験したことがありますが、外国の出展者が口をそろえて言うには「日本の見本市では注文が取れない、ショールームだ。」しかも大規模展示会は全体での集客数は多いものの自社のブースに立ち寄ってくれるという保証はなく、最近は日本の業者にも見本市の参加は一切せず、自社の受注会をかねた密度の高い展示会に転向しているところがふえているようです。
河口容子
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