1月18日から23日までブルネイに行って来ました。「ブルネイってどこ?」とおっしゃる方は昨年の7月10日号で「不思議の国ブルネイ」というタイトルで触れておりますので、ご面倒ですがバックナンバーをご覧ください。
知らない人が多いのは日本から直行便がないせいもあるでしょう。ボルネオ島にあり、ジャカルタへ行く飛行機はブルネイの上空を通過して行くので本来ならそんなに遠いわけではありません。今回はシンガポール経由で行きましたが11:30に成田を出て、シンガポールで約3時間半待ち、首都バンダル・スリ・ブガワンに到着するのは夜の12時(日本時間では夜中の1時)となります。
世界有数の裕福な国ブルネイのロイヤル・ブルネイ航空は世界でも評判の高エアラインですが、何と日本と韓国へは直行便がありません。厳密に言うと以前関空から直行便があったのですが廃止となりました。東南アジア路線はもちろん、ロンドンへも飛んでいますし、イスラム教国ですので中東へも直行便があります。上海便があるということは、いかに日本からの乗客が少ないか、日本は彼らのターゲットからはずれているかのどちらかでしょう。美人ぞろいのCA(客室乗務員)で、ユニフォームがとても素敵です。離陸前にコーラン「旅の祈り」というのが必ずモニターに現れ、「アラーはあなたの同行者、そして残された家族と友人の保護者とお祈りしてくれます。また、いまどきは珍しいことに救命胴衣の使用法を元気よく実演してくれます。
この飛行時間の長さもさることながら、問題はまず成田へ行くことから始まります。出発日の前日は東京は雪。私は新宿を基点に成田へ移動をするのですが、雪がどうなるか不安だったのでリムジン・バスはやめ、成田エクスプレスで行くことにしていました。新宿駅の成田エクスプレスは埼京線と同じホームを使っています。第一の関門はホームまでエスカレーターもエレベーターもないことです。成田へ行く乗客のほとんどは海外旅行客ですから皆重い荷物を持ってホームまでの階段を昇らねばなりません。過疎地に高速道路がついたり、空港ができたりするのに、なぜここにエスカレーター1本さえもつかないのか私はずっと不満です。
この日はホームに停車している埼京線が動かず、とうとう成田エクスプレスはキャンセルとなりました。アナウンスで東京駅へ移動すれば次の成田エクスプレスに乗れるということで、さんざん待たされた乗客の大移動が始まりました。また、重たい荷物を持って階段を昇り、違うホームへ荷物を持って降りる。とても先進国とは思えませんでした。私は新宿駅は使いなれているので東京駅へ行くには何番線に乗ればよいか熟知していますが、どうしてそういう案内がないのだろう、そして次の成田エクスプレスが東京駅を何時に出て成田空港に何時に着くのかどうして案内がないのだろう、とずっとこれまた不満でした。片道3000円以上も出してこの仕打ちはひどすぎます。
成田からシンガポールへ行く機内で面白いことがありました。日本人のCAが「シンガポールにお住まいですか?」と尋ねてきました。彼女はどうやら私がシンガポール人と結婚してシンガポールに住んでおり、日本に里帰りしたと勝手に想像していたようです。ブルネイに行くと答えたところ、彼女の想像の域を超えてしまったのか、「珍しいですね。」とカーテンの向こうに消えました。なるほど、CAは乗客ひとりひとりをこんな風に推測しながら仕事をしているのか、と何だかおかしくなりました。さあ、来週号は再発見したブルネイをお届けします。
河口容子