10数年前、会社員の頃デンマーク政府主催の投資ミッションにメンバーとして参加させてもらったことがあります。当時毎年行なわれていましたが、私は初めての女性のメンバーでした。現地ではいろいろな人から「本当に日本から来たのか?デンマークに住んでいるのではないか?」という質問を受けました。どうしてそんな質問をするのかたずねると「日本の女性は家にいて社会進出の機会がないと聞いたから。」
こういう日本女性に対する印象は今になっても変わっていないらしく、私の名刺を見て「日本では女性が社長になれるのか」、「日本では女性が男性のあとを 3歩下がって歩くと聞いたが本当か」、「日本では夫が先に食事をして後から妻と子どもが食事をすると聞いたが今でもそうか」、「日本で女性に投票権があるのは知っているが自分の意思で投票ができるのか」などなど、聞いているうちにみじめになったり、腹が立ったりします。「日本の多くの家庭では財布の紐を握っているのは女性。男性は小遣いをもらって暮らしている」、「最近は離婚も妻が夫を家から叩き出すケースが多い」と反撃すると今度は「日本男性はみじめなんだなあ」などというコメントが返ってきます。
たしかに外国人からみて、日本と行なうビジネスで女性と対等にわたりあうことは珍しいらしく、私の外国人の友人たちは口をそろえて「日本の会社には何社も行ったが女性と商談したのはあなたが初めて」だそうで、現地に行くといつまでたってもお姫様のように大切にしてくれます。「日本から女性が出張して来る」というだけで一目見ようと社員が並んで待っていることもあり、やまとなでしこ伝説は健在のようで、私はどんな態度でいたらいいのかちょっと困ります。
アテネ・オリンピックでは日本選手団のうち女子選手のほうが数が多く、レスリングや柔道は世界トップクラス、重量挙げ、ハンマー投げ、ホッケー、サッカーその名も「なでしこジャパン」だっています。一方、女性の社長は全国で約6万8千人、全企業の 5.64%が女性の社長ということで、何と最も多いのが土木工事業です。これがやまとなでしこの正体です。
さて、このエッセイも今週で 100回を迎えました。前シリーズの「日本がわかる!」とあわせると 200回目となります。節目ということで、この場をお借りして読者の皆様に御礼を申しあげます。ときどき、検索をかけますと、法人、個人を問わずホームページで紹介していただいているのが目にとまり、大変ありがたく思います。できれば事前にご連絡をいただければ、私にとっても新しいホームページを訪れる良いチャンスとなります。次週からは 300回をめざして頑張りますので引き続きおつきあいください。
河口容子