12月の声を聞くといつも宿題をかかえた気になるのはクリスマス・カードと年賀状の準備です。今月早々、あまり親しくない海外の知人から A happy new year! とメールで言われ、ちょっと変な感じがしましたが、考えてみれば、「良い1年でありますように」という意味ですから、別に「あけましておめでとう」ではないので新しい年が来る前に使ってもおかしくはないわけです。
準備の順番からいうとクリスマス・カードです。こちらはクリスマス休暇の前に届いてないととても恥ずかしい思いをします。イスラム教徒にはクリスマスはありませんので、通常「良いお年を」カードになります。ブルネイ、インドネシア、マレーシアではイスラム教徒が圧倒的に多いものの、宗教は自由ですのでクリスマスもちゃんと休日になります。
eメールのカードが出始めた頃は、郵便事情が悪い場所でも安心なのと、出すタイミングがぎりぎりでも間に合うことや、絵が動いたり音楽が楽しいということで相手の好みや親しさに合わせてカードを選んでメールで送っていました。ところが、最近はウィルスやスパムが多く、警戒する人は開封せずに削除してしまうのです。オフィスのメールアドレスに送った場合は休暇前にまとめて開封する人が多いようで、メールをたくさんもらう人にとってはかえって迷惑かなとも思い、今年は昔のように紙のカードで郵送をしました。ジャカルタに住む女性の企業経営者が、日本的な図柄の紙のカードがほしいと言っていたのを思い出したからでもあります。彼女はお気に入りのカードは小さな額に入れて飾っておくのが好きなようです。欧米のオフィスなどでは受け取ったクリスマス・カードを飾っておきますので、「公式」という意味では紙のカードに軍配が上がるかも知れません。
お年玉つき年賀はがきについては、どなたの発案か、いつ頃からあるのか知りませんが、これは隠れた大ヒット商品だと思います。はがきという軽便さを活用して筆まめでない人も一気にたくさん出せ、ビジネスをしている人は宣伝効果にもなります。住所録がわりに年賀状を保存しておくお宅も多いでしょうし、他人からもらわないと賞品が当たらない、また他人へ福のチャンスを与えるという「おつきあい」の精神が織り込まれています。私自身は20年ほど前に1等賞が当たった経験がありますが、小学校時代に西宮市に転校したときの友人からもらった年賀状でした。何十年ものおつきあいが福を呼んだのです。
虚礼廃止ということで年賀状は出さない主義の方のお気持ちは、過去そう思った時期もありますのでよく理解できますが、今は「年に一度しかないのにこんな事すらできない人間にはなりたくない」という気持ちが強くなりました。15年くらい前の上司が「ご無沙汰を一気に返す年賀状」とよく言っていましたが、年賀状の交換だけのおつきあいでも、お互いに元気で暮らしていることがわかると年賀状を手にした時だけでも心が通いあうような気がします。
年末であわただしい時期の大仕事ですが、 1年を振り返り、自分を支えてくれた方々へ感謝の気持ちと来年への希望や祈りをこめてカードや年賀状を書くというのは、習慣といえばそれまでですが、万人に通じる心のような気がします。
河口容子
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