[124]セカンド・マリッジ

 香港のビジネス・パートナーの兄弟と離婚の話をしたことがあります。離婚の増加が経済、特に消費生活にどんな影響を与えるかというテーマです。弁護士である弟は「離婚の増加は近代化の象徴」などと茶化しますが、おかげで彼の弁護士事務所も儲かるのでしょう。兄のほうは「離婚をしてそれぞれが別に生活を始めるとすれば不動産から耐久消費財まで需要がふえると言います。日本では最近は夫が家から追い出されるケースが多く、家計を握っているのは妻だから、追い出された夫は買い物なんてできない、と私が言うと彼らが一斉に「日本人の男性は気の毒だなあ」と笑いました。
 以前も書きましたが、中国人の世界では財布のひもはほとんど男性が握っています。そのせいか香港人の女性は夫に離婚されることを極度に恐れているとも言います。離婚に備え、子どもは一人しか産まないという人たちもいます。また、中国本土での離婚率も一気に増加、一方ではいつまでも未婚であることを蔑視する風習も残っていた世代では偽装結婚というか法的には結婚しているものの別居というケースもしばしば耳にします。本土は一人っ子政策世代がどんどん適齢期を迎え、晩婚化は当然のこと、夫婦は別姓ですが子どもは父親の姓を名乗るため、娘の結婚に猛反対する親というのも出現しているようです。自分の姓は消えていくのに相手の姓が繁栄していくのが腹立たしいのかも知れません。


 純愛ドラマといえば、最近は韓国がお家芸となっていますが、韓国の実態は離婚率が約 50%とも聞きます。現実からの逃避、純愛への憧れが世界でヒットする名作を生んでいるのも皮肉な話です。
 先日、日本の50代の独身率は死別、離婚も含め男女ともに 17%弱、50代の結婚、再婚というセカンド・マリッジ市場を盛り上げることで景気の活性化につながるのではないかという記事を読みました。相続権をめぐって子どもたちから反対されるケースは籍を入れないで同居する事実婚スタイル、あるいは籍は入れてもお互いのライフスタイルを守る別居スタイルなど、新しい結婚の形を50代のカップルが作り出すかも知れません。
 この記事の 2-3日後、英国のチャールズ皇太子のカミラさんとの再婚というニュースが報道されました。まさに50代のカップルです。しかも、英国の次期国王という立場、故ダイアナ妃も含めた数々のスキャンダルを乗り越えての30年にわたる交際を考えると、昔は人生50年、今は保険会社のCMではないですが、まさに「人生これからだ」と言えそうです。
河口容子
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