[253]地球に良い暮らししてますか

 今年は恐ろしいくらいの暑さでした。温暖化どころか熱帯化、地球の怒りや悲鳴が聞こえるような気がします。先週号で触れたベトナム女性と無事東京で再会しましたが、「東京はベトナムより暑いです。信じられません。」を連発。アセアン諸国でもっと高い気温、それも長袖のスーツというビジネスフォーマル姿で何度も体験していますが、確かに東京の暑さは人工的な不快きわまりない暑さと言えます。
 先日、北極の氷が想像以上に溶けているというニュースを耳にしました。なぜ南極は溶けないのかというと北極は海、南極は大陸だからだそうです。ちなみに北極の氷冠は3m、南極の氷冠は3,000m。このまま温暖化が加速すれば、海に沈む陸地も増え、いつか南極の氷も溶けて大地が顔を現すかも知れません。生態系がまったく変わってしまうことは明らかです。
 最近気づいたことがあります。夏場、窓を開けている家が近所にほとんどないのです。住人たちはエアコンに 1日中ひたっているようです。庭先に小さな貸アパートを所有していますが、室外機が24時間鳴っているところもあります。私自身はエアコンを使いませんので、自室にもオフィスにもエアコンの機械すらありません。扇風機も使いません。記録的な猛暑に生まれましたが、当時はエアコンなどどこにもありませんでした。地球上にはもっと暑い国々があり、エアコンなど普及していなくても、皆生きています。夏は暑いのが当たり前、その中で自然の恵みに感謝し、ささやかな工夫をして涼を取るのが人間の智恵や粋ではないでしょうか。
 とはいえ、私のデスクまわりは日当たりが良すぎるので、日中は例年37度前後、今年は40度に何度かなりました。机にのせている腕から汗が落ちて机が水びたしになったのにはびっくりしました。こんな按配ですから、炎天下といえど外出するのはまったく苦になりません。母がひどい乗り物酔いで車に乗れないため、車のある生活というのを生まれてからしたことがありません。外出は徒歩、自転車、電車です。半径 5キロまでは日常の買い物エリアですが、すべて徒歩か自転車です。もちろんマイバッグ持参です。
 これだけでもかなりのエコライフ(エコロジーとエコノミーの両方)だと思いますが、もうひとつ自慢があります。紙はすべて裏まで使うことです。外部へ提出するもの以外はすべて紙を裏まで利用します。広告でもダイレクトメールでも裏が白ければすべて使います。会社のファイルには、ときどき広告のピンクやブルーの紙が混じっています。日本人は「何もそこまで」と思うかも知れませんが、私のおつきあいしているアジアのお金持ちたちは揃って皆そうしています。
 戦後の日本の経済成長とともに「消費は美徳」そして「現在を楽しむ」という価値観に変わってきた気がしますが、だらだら無駄使いをするのと必要なもの、本当に好きなものにお金を使うのはまったく違います。だらだら無駄使いをするといくらお金があっても足らず、忍耐のできない怠惰な自分中心の人間を作りだします。また、お金だけが価値観の人間を増殖させ、金銭をめぐる事件が後をたたなくなります。地球の温暖化を機に日本人は考え直すことがたくさんありそうです。
河口容子
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