[092]五つの「あ」

 中国ビジネスの 5ケ条が「あせらず」「あわてず」「あきらめず」「あてにせず」「あなどらず」というのだそうです。これは中国のみならず、異文化コミュニケーションと必要とする国際ビジネスすべてにあてはまると私は思います。
日本人は「バスに乗り遅れるな」とばかり、あせって、あわてて海外に飛び出して行きます。いわばアウェイ戦ですから、相手を十分に調査、研究して体調も整えてから出ていかなれければ良い試合ができないのと同じで、輸出にせよ輸入にせよ、客観的な情報収集や自分の目で見ての確認が必要です。また、国内ビジネスとは違ったリスクも抱えることになるので、それに見合った自社の体力なり人材を備えておくことも大切です。国内の市場の低迷で市場を海外に求めざるを得ないという企業もあるでしょうが、海外に出れば他国の競争相手もいるわけで自社の国際競争力を見極めなければなりません。コストダウンや新規商材探しのための輸入にしても、初回の輸入からいきなり成功することもまずないと思います。準備や計画なくして始めるのは危険です。

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[089]初めてのメール

インターネットの発達により世界中の人に手軽にそして電話のような気軽さで手紙を出せるようになりました。私にとって不快なメールが何種類かあります。まずはウィルス・メール、でもこれは機械的にチェックする事が可能です。次に詐欺メール、これは第33号「国際詐欺団」で詳しく書きましたのでそちらをご参照ください。そして次に不快なのは、知らない人からの厚かましい問い合わせメールです。
 「検索をしたらあなたのメルマガが出てきたので」というような書き出しから始まるメールを時々いただきます。そのあとは一方的に自分の質問を書きたて最後に「教えてください。よろしくお願いします。」と結んであります。リストに従って送り出される何かの売り込みのメールなら関心がなければ削除するという選択権が自分にはあります。ところが、まったく知らない人からいきなり個人的な質問に答えてほしいと言われても当惑するだけです。メルマガの内容も読んでいないのでしょう。なぜ私に聞くのか、というような質問です。道でたまたますれ違う人にその質問をしてみたら答えてくれるでしょうか。頭が変だと思われるだけです。私も返事はしません。
 初めて仕事関係のメールをもらう場合、どこで私のメールアドレスを知ったか書いていない場合は一切信用をしないことにしています。ビジネスというのはお互いの信頼関係がない限り成り立ちません。通常は相手の信用を得るために「○○さんから紹介されました」とか「△△のサイトで御社のことを知りました」と書くのが普通です。
 次に信用を得るためには自分の情報も開示します。ホームページを持っていればその URLをつけておくとか、簡単に自社の業容を説明します。ところが最近は何の会社か、住所はおろか国名すらわからないようなメールも来ます。もちろんこんなメールにも返事はしません。
 ある日、SOHOの方に仕事の電話をしたところ、奥様が出られて留守ですと電話をきられました。すぐ、ご本人から謝りの電話をいただき「セールスの電話が多いのでいつも留守と答えるようにしているので家内がきってしまいました。」とおっしゃるのです。用心にこしたことはありませんが、過剰な防衛によりビジネス・チャンスを逸していることがあるのではないか、そして同時に善意の電話もつながりにくくなったことを痛感しました。
ましてや、メールという手段では相手の顔も見えないし、声を聞くこともできません。その場で質問することもできません。それをいいことに最初の例のような「恥はかきすて」のような人も出てきますし、悪質な詐欺の温床ともなります。知っている人どうしにとってメールは大変便利な連絡手段です。しかしながら、知らない人から初めてもらうメール、あるいは知らない人へ初めて出すメールはとても神経を使う時代になったといえます。
河口容子