年末のニュースに中国と韓国に対する日本人の好感度という調査結果が出ていました。中国に対してはあまり芳しくなく、韓国については過去最高の好感度であったようです。理由としては、中国についてはサッカーのアジアカップでの日本やサポーターに対する反日的態度、韓国についてはドラマ「冬のソナタ」のヒットが示すような韓流ブームの影響、と解説されていました。この報道でいくつか感じたことがあります。
まず、スポーツや芸能という誰にでも目に触れる事象、つまりマスコミでの露出が大きく、多くの人が関心を持って見る事柄で国の印象は変ってしまうということです。会社員時代に経済広報センターという経団連の下部組織が主催する「会社員フォーラム」に10年ほどメンバーとして参加していました。毎年サラリーマンの意識調査として 100項目を6000人以上の協力者にアンケートを取っていましたが、結果を見るまでもなく、直近話題となった事柄、会社員として問題意識を持つべきであろうというような事柄に回答が集中してしまうのです。これぞ、日本人特有の予定調和の世界で、結果を推測した上で妥当な回答をしておこうとする気持ちが働き、個々人の強い意志や意見はないようにも思えます。逆に、まだまだ他の面では中国や韓国との接点がない人が多すぎるとも言えます。
中国に好感度は持てないと多くの人が答えながら、中国製品に囲まれて暮らしているわけですし、生産基地として市場として中国に関心を持っておられるビジネスパーソン、留学や就職の地として中国を求めている人は少なくありません。外国語としても英語の次には中国語が学ばれています。アンケートの結果とは矛盾する現象です。逆に中国では反日教育がなされていても、日本製品のボイコット運動が起こるわけでもなく、日本企業や日本人が被害に遭うこともめったにありません。日中というのはホンネとタテマエの違う不思議な関係とも言えるでしょう。
[119]アウトソーシングからコラボの時代へ
「アウトソーシングからコラボレーションの時代へ」とよく言われます。私自身も貿易あるいは国際ビジネスという切り口での専門サービスを行なう会社を起こしてから 4年半以上経過していますが、アウトソーシングの形式として効果があがる相手は専門商社、貿易に関する政府機関や国際機関に偏ってしまいます。アウトソーシングというのはいわば外注、下請ですから、サービスを買う側と売る側という労使関係が成り立ちます。ということは、買う側に管理能力が必要で、事実、私の仕事の目的や責任を明示し、成果の評価をしていただくことになります。
逆に、貿易や国際ビジネスが未経験という相手にいきなりアウトソーシングを依頼されても私の業務内容を十分にご理解いただけないばかりか、方向性のご判断を仰ぐ事もできず、当然評価もしていただけない、成果もあがらないというのは目に見えているので、最近はすかさずお断りすることにしています。この辺が専門職の仕事の世界の難しさです。
一方、コラボレーション、これは対等の立場でお互いの強みを生かしあう形式の仕事が私の会社でもふえてきました。最近は日本の中小企業の間では特に「コラボ」が流行っていますが、一人前でない者どうしが寄り集まってグループ化したものや自分の利益を得るために誰かを利用するだけではコラボではないと考えます。コラボが成立するのは、お互いに異なった強みがあること、お互いに生かしあうことにより双方メリットがあること、そのバランスが絶妙であることです。