[114]輸入から起業をめざす人へ

 先週、ある団体で「小口輸入」についてお話をさせていただく機会をいただきました。今回は視点を変えて、サイドビジネスや起業の手段としての小口輸入というテーマです。参加者おひとりずつからいただく名刺のからはまったく想像がつかないほど、いかに多くの方が「輸入」や「輸入商品の小売」に関心を持っておられることに改めて驚きました。素材から高級ブランド品に至るまで日本には輸入品があふれていますし、小売業というのは誰もがお世話になっているわけで一番身近な存在だからでしょう。
 私自身はどんな業種であれ、起業するにはいくつかの心構えがあると思います。まず、ある程度の資金を用意できること、そして何らかのスキルやノウハウを持っていること、具体的なプランを持っていること、リスクを取る勇気があること、自分で決断し行動できることです。
 ときどき相談を持ちかけられるのは「輸入で起業したいのだが何を扱ったら儲かるか」「○○を輸入して起業したいが方法がまったくわからないし資金もない」という内容です。上記の心構えにあてはめてみていただけるとおわかりでしょうが、単なる興味や希望の段階で事業化へ向けての調査研究が一切なされていません。起業というのは単なる思いつきやアイデアだけではできません。それをいかに実現し、収益を得ていくかが起業であり、これはご本人の資金量や能力、経験、性格、職業観、価値観などによって内容は変わってくるものです。本やセミナーで得るのは考えるヒントであったり、必要とする知識だけです。事業計画案を作れるのはご本人しかいないわけです。

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[113]ブルネイの甍(いらか)

 ブルネイの民家に興味を持つようになったのは今年の 1月同国にある総合商社の駐在員事務所長のお宅に招待されて以来です。自宅に工房がある企業などは訪問したことがありますが、オフィシャルなスペースで商談を行なったり、お茶やお菓子をいただくだけで日常生活を窺い知ることはできませんでした。磨かれた石や陶器タイルの床材になっていることが多く、日本のように玄関で靴を脱いでおじゃますることもありました。足の裏から伝わるその素材の冷たさが何とも心地よく、暑い国ならではの習慣だと思いました。水を流して洗い出せるのも衛生面で良いというのを誰かから聞いた覚えもあります。
 総合商社の所長や店長宅というのはどこにあろうとお客さんを招いての接待の場でもありますから一般住宅より広くて豪華というのは通り相場ですが、このブルネイの所長宅はまず玄関ホールは吹き抜けになっており、絨毯が敷かれ優美な弧を描いた広い階段が現れます。このホールだけでも十分 20-30人のビュッフェパーティはできそうです。庭にはプールが見え、そのむこうにはメイドさんたちの住む地中海風の長屋の別棟もあります。

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