[062]危機意識の国際化

 イラクで外交官二人が殺害されました。これがテロだとしたら日本人もいよいよ標的になっているということです。政府の狼狽ぶり、特に小泉首相や川口外相の対応を意地悪く観察していると、やっとこのお二人も当事者意識がわいてきたように思えました。折りしも、ブッシュ大統領やヒラリー・クリントン上院議員が選挙のためのパフォーマンスかも知れませんが当事者らしく力強くバグダッド入りした報道のあとだけに、日米の差を強く感じました。
1988年ごろのことです。当時のニューヨークは日本人からすれば想像もつかないほど危険な所でした。まず教えられたのは歩道の歩き方で、車道側はひったくりに遭うので歩くな、ビル側は建物と建物の間に人が潜んでいて引きずりこまれるので歩くな、冬場だったのでショルダー・バッグをコートの中にかけるように、との事でした。確かに初日からビルに立てこもったライフル男をニューヨーク市警が逮捕をしに行くシーンに遭遇。夜はミッドタウンのオフィス街の中かヴィレッジかソーホーあたりでなければ歩くということすらできず、摩天楼の間からのぞく空は切り絵のように小さく、緊張感と疲労で 2日目から流行していた悪性の風邪に見舞われ、せきと熱と戦いながら 3週間で 8フライトした思い出があります。

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[061]輸入から起業へ-後日談

  8月21日号に「輸入から企業へ」というタイトルで小口輸入の話を書かせていただきました。読者の方にもご自分の事として興味をお持ちになった方がいらっしゃったようです。さて、あれから 3ケ月、このセミナーの受講者たちはどうしていると思われますか?実は11月22-24日、ある地方都市のビルで行われたインポートバザールに「店主」としてデビューするのが最終ステップの「発表会」だったのです。
開講したのは 8月、週 1回計 5回の授業が終了したのは 9月第 1週目です。受講生はこの間に自分の取り扱う商品と海外の仕入先を決めます。そしてインポートバザールに向け仕入先との交渉、発注、輸入業務、価格の設定や販売計画を各自で準備しますが、講義が終了してからも、 2度のスクーリング、成田空港の見学と顔をあわせる機会が設けられ、メーリングリストでのサポート体制もばっちりです。そもそもこの講座の受講資格は、高校レベルの英語が解せること、PCが使えることが条件でした。貿易実務については未経験でも大丈夫というふれこみではありましたが、実際に参加しているのは貿易実務講座の修了者、会社で輸入を担当している方、個人輸入の経験者などです。
小口輸入にどんなスキルが必要かといえば、ますは商品選択能力、日本語で通じる相手が海外で見つかるのはごくまれですので語学力、貿易実務の知識、商品によっては法令で規制や検査が義務付けられていますので書類作成能力、利益計算も含めた販売能力です。実際のところ小口輸入というのは決済条件、受渡条件に選択肢がほとんどないため、マーケティングや販売能力が勝負といえます。
 小口と言っても仕入先はメーカーや問屋となるわけです。交渉を重ねても小口では売ってくれないことも多々あります。もちろん、はなから相手にされないこともあります。また、商品によっては輸入販売に必要な検査費用をコストに参入すると小口では販売価格がべらぼうに高くなってしまうこともあります。受講生たちは修正に修正を重ね、とうとう秋口にはバリ島に買い付けに行く男性も現れました。パーティ用のキッチングッズを扱う予定の女性は旅行先のニューヨークでもしっかり商品をチェック、一方国内でもトレードショーめぐり、ショップ視察の日々がそれぞれ続きました。

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