[038]ASEANの底力

 実は先週から、私はインドネシアとブルネイに出張をしております。来週からはこの2国について最新情報をお届けする予定です。
 さて、SARSという不測の事態に見舞われ、社会主義国特有の隠蔽体質や中国人の個人主義といった不安要因が一気に表に現れ、中国一辺倒であった経済界も ASEAN諸国を見直す動きが出てきています。奇しくも今年は「日本 ASEAN交流年2003」(1月30日号でふれております)でもあり、マスコミでもASEAN諸国が取り上げられることが多く、また多くの記念行事があります。
 私は幸い国際機関の仕事で ASEAN諸国とはかかわりが深く、また香港にビジネスパートナーを持って中国とのビジネスもやっていることから両方を常に冷静に比較することができますし、また ASEAN諸国と中国の貿易の橋渡しも模索し始めております。

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[037]帰ってしまった出張者

 2週にわたり、アテンドについて書かせていただきましたが、残念に思った経験があります。会社員の頃、米国法人のある支店の女子社員が出張して来ることになりました。この支店は米国法人の稼ぎ頭でもあり、日本の本社を見たり、直接日本の文化やビジネス環境を知ることをかねた、いわば研修旅行やごほうび旅行といった色合いの強い出張を現地雇員にさせていました。
 その都市からの直行便は夕方成田に到着しますので、東京のホテルにチェック・インするのは19時半前後となります。女性の場合はいつも私がホテルに行って、様子見がてら軽い夕食を一緒に取ることにしていました。やって来るのは米国の地方都市に住む普通の担当者ですから、日本に来るなんて思ってもみなかったような人たちです。米国のオフィスにいる日本人は皆英語が話せますが、日本はそうはいきません。また、彼らから見れば同じような顔をした日本人がどっと繰り出す風景に到着したとたんかなりのカルチャー・ショックを受けることがよくありました。
  Aさんの場合は、米国にある取引先のトップが大阪のメーカーで商談を行うためそれに事務方として同席するというのが表向きの出張理由です。ところがこの米国取引先トップと彼女は分不相応ということもあり、米国からの同行は許されず、初めての日本で東京から大阪まで移動せねばならないというプレッシャーのためか、一緒におそばを食べても1本ずつ箸でつまみあげ、5本も食べるともうお腹がいっぱい、疲れを訴えるという状況でした。
 彼女の場合は、初来日とはいえ同じ会社の人間ですから、お客様のように手取り足取りのサービスは誰もしません。これは逆に私が出張した場合も同様です。彼女をホテルの部屋まで送り届けると上司(米国人の女性)からもらったというガイドブックを何冊も持っていたので、翌日は土曜日であり、具合が悪ければホテルで休むか、気分転換に散歩や買い物をすることをすすめ、近場のわかりやすいところをメモに書いて渡しました。もちろん、私の自宅電話番号も緊急連絡用に書いておきました。そして日曜は東京を案内してあげると待ち合わせの約束をしました。

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