ディジョン中央市場の向かいにある店、La Theiere(ラ・テイエール)はチュニジア風のSalon de the(サロン・ド・テ、喫茶店)です。
店内は地中海を感じさせるブルーとチュニジアの柔らかな陽の光を感じさせBGMはアラブ風ロックや歌謡曲。その歌い方にこぶしを利かせるせいか日本の演歌をちょっとJAZZYにした感じです。ここはご近所に住むアラブ系おじさんたちの社交場。でも市場帰りの買い物客でここに立ち寄り一杯お茶して行く人や食事をして行く人達の中にはフランス人も多く、やはり彼らにとってもこの店はエキゾチックなんでしょう。
ここではアラブ風喫茶が楽しめます。お茶はミントティーをかなり甘くして濃縮した味。はじめて飲むと何だかチューインガムを飲んでいる気がします。慣れると結構クセになります。お茶は小さなティーポットに入れて運ばれてきます。ポットを高めに上げて滝が落ちる様に豪快に注ぎます。だから甘いミントの香りが鼻の前に広がり食欲をそそります。
大酒のみで辛党の私はアラブ風菓子なるものを食べた事がありません。かなり甘いらしいようですがそれでもお茶同様に慣れるとクセになるとか。アラブもやはり私達と同じ東洋に入るせいか、ここのお菓子もどことなく和菓子に似ています。お仏壇にお供えする落雁やスアマにとても似たお菓子があります。やはり世界は一家?
この店にCouscous(クスクス)があります。このクスクスなるものは別に食べると笑いたくなるようなものが入っている訳ではありません。それはパスタを作るデュラサムセモリナの粉で作ったつぶつぶのまるで粟のようなものです。ズッキーニ、人参、ひよこ豆、そしてカブなどをトマトで煮こんだソースに自分の好のお肉を焼いてもらいそれを付けてクスクスに野菜の煮込みソースを掛けて食べます。この店では骨付きマトンやチキン、又はMergueze(メルゲーズ)と呼ばれる羊肉で作ったチョリソーのようなピリカラのソーセージから1品選べます。羊肉が少し油濃いのでメルゲーズで食べると少し重い感じもしますが、食後のミントティーが口の中からお腹の中までスッキリさせてくれます。
クスクスとは北アフリカにあるアラブ系諸国の家庭料理のようです。フランスに移住してきた彼等がこの国に紹介し根付いている様です。それはカレーが日本の食卓に根付いたようにこちらの一般家庭料理でも時々見かけます。野菜煮込みが胃に優しいこのクスクスは恰好の箸休めになるので是非一度お試しくださいまし。
La Theire 10 Rue Quentin, 21000 Dijon 日曜休み
夢路とみこ