[054]ニースのクリスマス

カトリックの多いフランスではクリスマスは一家が揃ってお祝いをするという重要な日。それは日本の大晦日と元旦に通ずるものがあります。この日を挟んでフランスを旅行するならばやはり世界的に有名な観光地の方が華やかで良いかな、パリのシャンゼリゼ通りのイルミネーションにも惹かれたけど寒いのが苦手なので今年はニースを選択。当りでした。まずここは暖かい。常夏のハワイ、暖冬のフロリダとまでは行かないけれど気温も景色も冬の南カリフォルニアという感じ。あちらも地中海性気候だからかな。
クリスマスの日の朝、ホテルを出てプロムナード・ザングレという遊歩道へと向かった。途中、花市やオリーブ、魚介類などが売っている朝市が立っていた。祝日なのに仕事熱心というか観光客慣れしているというか、有難い。教会ではミサが行なわれ立ち寄ってみたけれど聖歌隊も素晴らしくクリスマスである事を実感。


海岸では波打ち際に椅子が並んでいて人々は思い思いに新聞を読んだり、ピクニックランチをしたり、ミニヨットを浮かべて遊ぶ子供や沖へ船出し釣りをする人、泳ぐ人さえもいた。今日は気温15度だからそれが出来るのでしょう。天気予報ではディジョンはマイナス2度。あまりの暖かさにニースとディジョンが同じ国にあるのが不思議なくらい。フランスは広い。マフラーと手袋、寝る時は靴下が必要な日常からジャケット一枚で散歩出きる所が同じ国内にあるなんて。
イブの夕方にニースに到着した私はここでイブのディナーを楽しもうと張りきっていました。少し高めだけど日本のお節料理並に華やかなクリスマスと大晦日のレヴェイヨンディナーは以前から興味があり是非一度はと思っていました。お洒落していざ出陣はしたものの、どのレストランも予約なしの飛び込み一人客はお断りでした。どの店も席はたくさん開いているのに「満席だから」と言われ寂しくホテルの部屋で途中買ったワインとフォアグラでメリー・クリスマス。
でもクリスマスの朝、ニースの町を散歩してその華やかさ、朝市の活気ある掛け声、教会のミサなんかを聞いていると元気が湧いてきて一人旅の暗さが吹っ飛んでしまいます。私の住むディジョンのこの日なんてみんな教会での礼拝の後は家族団欒だから営業しているレストランや店は殆どなく朝市なんてない。だから一人でいると暗くなってしまいます。クリスマスの日のディジョン訪問は寂し過ぎるかな。
夢路とみこ