[077]シャトー・ヌフの、みのさん

仕事でプロヴァンス地方に行くときよくお客様を案内するワイナリーがあります。それはシャトー・ヌフ・デュ・パープにあります。フランスのワインは奥が深いと言いますが、幅もあるよぉーん。一般的に南仏ワイン、コート・デュ・ローヌのワインと言うとアルコール度が高く早く熟成するから出荷も早い。それに大量生産もしているのでお手頃感がありお気軽ワインというイメージがあります。でもシャトー・ヌフ・デュ・パープは例外、何でこんなに高いのと泣きたくなる位に高い。そしてそのワインを飲むとき、泣きたくなる位においしい。
この聖なる法皇の葡萄畑に一度足を踏み込んだら葡萄の蔓が私のハートをがっちり掴んで離さない。ブルゴーニュ地方が貴族の葡萄畑ならシャトー・ヌフ・デュ・パープは聖職者のワイン畑、やっぱりハハァーと90度の最敬礼をして踏み込まねば。


私が仕事で案内するワイナリー、アンリ・ブアション社はアヴィニヨンからのバスツアーにも入っているという人気のカーブ。ため息をつきたくなるくらいに美しい樽のうねりがカーブいっぱいに広がるのは元樽屋だから。まるで樽博物館のように大小さまざまな樽があります。大人一人分の身長より大きいのに口は子供一人がやっと通れるか位の小ささの樽があります。掃除はその小さな口からブラシを持って入るけど急がないと急性アル中になり大変なことに。いくらワインが大好きな私でもこの樽の掃除だけは勘弁だわ。
フランスワインの魅力はブルゴーニュのように単一の品種で一発勝負のものがあったり、ボルドーのように3種類以上の品種で飲む人の心に波紋を広げたりと語りだしたら尽きませんが、シャトー・ヌフ・デュ・パープの掛け合わせる品種の多さはまるで方程式。ワインは化学と言うけれど確かにそうだと思う。試飲するたびにその魅力に溺れてしまう。ガイドするはずの私が一番夢中に。夢中にさせるのはこのカーブの巧みな醸造方法、熟成させるための樽の素晴らしさ、いやいやここのオーナー、ジャン=ポール・リゴー氏の人柄だと思う。このオーナーの軽快な語り口とワインに対する情熱を通訳するたびに私もついついもう一杯飲みたくなる。その笑顔がみのもんたさんによく似ていて日本が懐しくなる。シャトー・ヌフ・デュ・パープの白ワインは珍しいので是非このカーブで一杯試飲してください。
このカーブのアドレス: http://www.henry-bouachon.com
ここへ行くバスツアー:Lieutaud Voyages はアヴィニヨンの観光局窓口受け付け。
夢路とみこ