[029]プロヴァンス その3

コート・デュ・ローヌのワインと聞くとお手頃ワインを想像します。投機目的で値段が吊り上げられたブルゴーニュやボルドーの一部のワインから比べると安価感のあるこの地方のワインは一番親しみ易いワインではないかしら。南仏の入り口とも言えるこの地方のワインはアルコール度も高くふくよかな印象を持ち、何の料理にも合うと言われます。だからこれは万能な供えあれば憂いなしワインです。
フランスのハウスワインとして出されることも多く、私もレストランで好みのワインが見つからない時はこれを注文。赤でも白でも失敗はないと思います。そんなお手頃で親近感のあるコート・デュ・ローヌでもシャトー・ヌフ・パプ級となると他の地方の銘醸ワインと同じ。このクラスにワインになるとここよりも日本の方が良いものが出まわっている気がします。だからこれについてはあえて紹介しなくても日本在住の皆さんの方が良くご存知でしょう。


リヨンから列車で1時間弱、リヨン旅行を計画しているなら検討の価値あり。ここに立ち寄るべき理由はやはりコート・デュ・ローヌのワインを楽しむため。 Tin-l’Hermitageタン・レルミタージュ駅から徒歩30分位(タクシーなら10分くらい)で行けるワイナリー、Ferraton Pere &fils フェラトン・ペール・エ・フィスはコート・デュ・ローヌワインの意識を変えさせるような一軒かも知れません。
数種類の葡萄混合で洗練された複雑さを持つ、シャトー・ヌフ・パプとは異なり、単一品種でコート・デュ・ローヌワインを作るこの醸造家のお勧め所はSt. Josepheサン・ジョゼフの赤。私はシラー種があまり好きではないので普段は飲まないのですが、この赤がもたらすまろみと存在感にそっぽは向けない。カーブで試飲しながら頭を過るのは炭火で焼いた焼き鳥をタレで、照り焼きチキンなど醤油と砂糖の甘辛い味のことばかり。西新宿思い出横丁にこれを置いてくれたら帰国中は毎晩通いますと、ニンマリ。
このドメーヌの入り口は小さく、外から見るとただの民家。しかし玄関を入るとその奥に続くセラーと試飲室に驚嘆の声をあげるでしょう。あの狭い入り口の先にこんな樽小屋があるものかと。ここでは観光客向け試飲も47ユーロまで様々な試飲メニューであります。建物の後ろに見えるタン・レルミタージュの畑はブルゴーニュの黄金の傾斜よりも更に急な傾斜です。高所恐怖症の私は「ここでは収穫の手伝いは出来ない」と確信。やっぱり私は仕上がるワインだけを楽しむ消費者に徹しよう。
住所: 13, rue de la Sizeranne 26601 Tain Cedex
Tel:+33 475 08 28 65
夢路とみこ