素晴らしい芸術作品や珍しいものはパリよりも地方の美術館などの方が多く名作との意外な出会いを求めるなら田舎へ行けというのは本当だと思う。これはブランド品を探すのにも共通するらしい。シャンゼリゼで何時間も行列するよりも地方都市のブティークの方が在庫がたくさんあるようです。
トゥールはパリからTGVで約1時間強。ここは世界でも珍しい芸術品に出会える。わざわざ足を伸ばしてパリから一歩出たフランス芸術観光の価値は大いにあり。
その一つはMusee du Compagnonnage職人の組合博物館。TGVやコンコルド、原発を持つこの国は、ハイテク産業の先端を行く一方でミッシュラン3つ星を獲得するために何年もの修行があったり、人の生き方さえも変えてしまうような素晴らしいワインを造る樽には樽職人の腕次第とデジタルなのかアナログなのかわからない、上手くミックスした国です。それがフランス人の頑固さを作るのでしょうか。頑固とこだわりの職人芸を見るのならこの博物館へ。フランス人ってこんなに器用なんだ、彼らは何事においてもエレガンスとアートを忘れないんだと関心します。
ちょっとした小物だけれどものすごく味がある。例えば七面鳥の形をした葉巻入れ。羽の部分に葉巻を差し込むようになっていてそれを入れるとまったくの七面鳥。らせん階段の中心となる柱の形がロワールのワインボトルの形。何てお洒落でウィットに飛んだ作品だろう。これはインテリアやファッションなどのデザインに関心ある人のみならず珍しい物が好きな私のような人も十分に楽しめる。こんな珍品コレクションは世界でもここだけ。
そしてもう1箇所はMusee du Gemmailジェマイユ美術館。私も来るまで知らなかったけれど百聞は一見にしかず。見れば分かる。好きになる。というシロモノです。簡単に言えば厚手のステンドグラスのようなもの。色つきの厚手のガラスを何重にして光を通すからちょっと3Dアートのよう。また絵柄がピカソやドガなど近代絵画がテーマでステンドグラスの宗教画と違って分かりやすい。
日本語の解説書もあり「ガラスの絵画」って書いてあったけど本当にそれ。薄暗い部屋で間接照明を当てて見るこの絵画はムード音楽ならずムード絵画とでも呼ぼう。またこの美術館の入り口前の階段がお洒落。妖艶な美しさを持つジェマイユに酔ってそのまま近くのプリゥムロー広場Place Plumereauでお茶でもどうぞ。まるで南仏に着たかのようなカフェテラスの海うねり。ここはロワールか南仏か。。。。。
夢路とみこ