[151]なさそうであるもの

日本では当然の慣わしの如くある「同僚とのお付き合い」これは良しに悪しきに大事な事。社内での関係を円滑にするための潤滑油みたいなもん。日本にいた頃これを煩わしいと思った時期もあったけれど、今、海外で仕事をする上でこの大切さがよく分かるようになった。孝行したくても親はすでになし、という皮肉と一緒で、付き合いたくても今は一人でSOHOしてるから同僚はすでになし。個人主義の国というと私たちはすぐに米国を想像してしまうけれど、フランスの方がもっと徹底している、というか彼らの頑固さは妥協とか協調とか知らんのかと言いたくなる位に個人が孤立している気がします。だから、定時になると仕事があろうがさっさととんずら。
私がこれまで働いた海外の国々では仕事があればたまにだけど残業するし、帰宅前にちょっと一緒に一杯なんて事も。しかし、つい最近までの同僚がいた頃には終業後に一緒に飲む、週末に出かけるなんてのは殆ど皆無に近かった。フランスにはそんなものないのかもしれないと信じてた。しかし、最近になりばらばらに再就職した元同僚たちから終業後にご飯一緒にどうコールが入ってくる。そして世間話をしたり、美食やワインについてお喋りを楽しむ。なさそうであったよ、同僚とのお付き合い。元同僚だけど、嬉しいかなお付き合いがある。


そんな元同僚たちと出かけたレストラン「ル・フレドリーヌ」に、このディジョンにはないと思っていたもの、美味しさを感じる魚料理があった。ディジョンは内陸部で大河もなければキール湖は貯水湖だから地場の魚がない。美食ライバル都市、リヨンにはソーヌやローヌ川の美味しい魚料理があるというのに。ソーヌ川の川魚を白ワインで煮込む料理ポシューズは南ブルゴーニュの郷土料理、マコンの白ワインに最高!
魚が大好きな私の胃袋にはこの数年間は苦痛だった。この店、最近オーナーが変わり、前のオーナーの時はよく食べに行ってたけど、新オーナーになりご無沙汰してました。元同僚との食事会で出かけて出会ったこの一品。Filet de Saumon au mile et au sesame(サーモンのフィレ、ゴマまぶしの蜂蜜ソース)にこの数年間の苦痛がやっと癒されました。フレンチでゴマというのは最近流行りらしくたまに見かけるけれど、食事に甘味を入れないから食事の最後にデザートで甘みを取ると聞いていたから「なぬー蜂蜜ソース?こんなの食べれるの?」と思いきや、「一口は百聞にしかず」と私は言いたい。なさそうであるじゃん。
Le Fredline 6 rue Bouhier 21000 Dijon 03.80.27.56
http://www.lefredline.fr
夢路とみこ