[03]無収入の生活

2019年4月29日

夫が会社に行かなくなるなんて!その時はそのうち行くだろうと高を括ってた。会社からは毎日電話がかかってきたけど全く無視。どうしちゃたんだろう。夫は1日中布団に包まったまま。私は3人目を出産したばかりで働けなかった。
「具合が悪いの?」「会社で何かあったの?」と夫がお酒を飲んでる時に何度か話しかけてみたけどいつも生返事だった。それで私は「勝手にしてればいいや」と思ってしまって夫の事もこれからの生活の事も深刻に考えもしなかった。
朝は上の子2人を保育園に連れて行き、掃除に洗濯に買い物。午後は近所の人に誘われれば外出したり、保育園に早めに迎えに行って公園で遊ばせたりしてたから、そうそう気に留めず生活出来たのかも。遠慮もあったんだよね。それまでお互いやりたいようにしてきてたから、セックス付きの同居人のようでもあったし。お互いの意見を言い合うとか話し合うってことは無かったかも。私としては実家より自由に振る舞えるだけで充分だったから。
でもねぇ、1ヶ月、2ヶ月とこんな状態が続くと生活が不安になってくる。思い切って「どうしたいの?」って聞いてみたの。そしたら「パソコンで仕事をしたい」って。1度きりの人生なんだし、やりたいことをさせてあげたいと思って、たまたま作っておいたクレジットカードで購入してあげた。
だけどねぇ、全くの素人が仕事にありつける事はまず無いのよ。それでもいつか仕事を始めるかな、って期待しちゃったんだよね。だからそれまではと食料も雑貨もクレジットカードに頼ってた。支払い等は消費者金融で借り入れして。
「働かざるもの食うべからず」今なら言える。でも、その時は言える関係に至ってなかった。しり込みしちゃってたんだよね。もともと独りで暮らしていた所に3歳の息子を連れて押しかけちゃって、すぐ妊娠しちゃって成り行きで籍を入れたようなものだったし。1年後にまた妊娠したからあれよあれよという間に3人の父親になっちゃったんだもん。気持ちはずっと独身でいたんだと思う。独身でいれば気ままに過ごせてるんだもんね。そんな思いがあったから、ビールもお酒もたばこまで用意してあげちゃってた。さすがに肴はおかずと兼用になったけど。嫌にならなかったのはやっぱり好きだったからかなぁ。
会社を辞めて退職金を貰うとか、失業保険の手続きをとるとかしてくれればまだ良かったの。一歩も外に出ないんだもん。会社もクビにされちやう始末。私が何とかしなきゃ、って思った。自宅で出来る仕事を探してみたの。内職は数をこなさないといけないし、宛名書きは怪しいと聞くし …。
その頃ポストに投函されていた折り込みチラシに「テレホンレディ募集」ってよく載ってたんだよね。色事には疎かったから最初は全く興味無かった。でも、「時給1200円~1500円」に惹かれてしまったの。容姿には全然自信ないけど、声だけならなんとかなるかな、って。時間も自由だし。少しでも家計の足しになればとドキドキしながら登録しちゃった。
次回は「テレホンレディ」をした時の事を書いてみますね。
山口ひとみ