[074]年休あれこれ(4)買い上げ禁止

2013年1月14日

 

【買い上げ禁止】
 
年次有給休暇(以下年休)は、実際に「休むこと」を重視しています。つまり「その日の労働義務」の消滅です。したがって、年休を金銭で買い上げすることは労働義務が消滅したことにならないので、これを禁止しているのです。(労基法第39条第1項「有給休暇を与えなければならない」と規定)
 
例外はあります。
 
年休は与えなくてはならない日数が法律で決められていますが、使用者はその日数を越えて年休を与えることがあります。(こういうすばらしい会社が現実にあるかどうかはわかりません)法定を超えて与えている日数については年度末などに買い上げることは差し支えないとしています。(S23・3・31基発第513号)
 
また、時効や労働者の退職によって権利が消滅するような場合にも、残日数に応じて調整的に金銭の給付をすることは認められています。問題となるのは事前に年休取得を抑制するような行為・契約です。そのようなものは好ましくないとしています。
 
また、労働契約において、事前に、年休を取得しないことを約束させるような放棄契約は無効です。
 
なお、当年度に行使されなかった年休権利は次年度に繰り越されます。(S23・12・25基発第501号)
 
そして繰り越された年休の権利は、前年度発生分・当年度発生分にかかわらず労基法第115条により2年の時効が適用されます。