[155]社会保険庁のテレビCM
2週間ほど前に東京の山手線に乗りましたところ、中吊り広告に社会保険庁の「誤解」ポスターがこれでもかという感じで貼られていました。江角マキコさんが若者を問い詰める広告です。この広告はテレビでも大々的に放映されており、識者の間で物議をかもしています。
国民は本当に「誤解」しているのでしょうか?
誤解ではなく、今までの経緯を見て、国民年金を信用していない、というのが真相でしょう。国民年金に限らず、長期的な事業は様子を見て結果が変動します。国民年金は現状のまま人口が減り続ければ、どんどんもらえる年金が減ります。その額を現時点で試算すると、払った金額よりもらえる金額のほうが少ないのです。これは誤解ではなく真実なのです。
ところで、そのもらえる金額というのはじつは政策でどうにでもなります。財源を他から持ってくれば少ない保険料で多くの年金をもらえるするようにすることも可能なのです。問題なのはそれを実行する政府、国です。本当にやってくれるの?という不信感が膨らんでいるのです。
国民年金保険料を支払わない人たちというのは多分20歳を過ぎた学生、もしくは就業していない世代がほとんどだと思います。あるいは自営で収入を得るも不景気でそれもままならない人たちでしょう。収入のない人から徴収するというのはいかがなものでしょうか?また収入がままならない上に、もらえるかどうかもわからない保険に誰が保険料を払うでしょうか?
坂口大臣もそのあたりわかっているようで、国民が理解納得できる年金保険制度の確立が急務ということを公の場で言っていました。まさにそのとおりです。万一のときの保険や年金です。もっと納得できる政策を打ち出してほしいものです。
なお、国民年金保険料を支払わない人は、それはそれで自由ですが、保険料は一応「税金」扱いなので、払わないということは「脱税」に等しいこと、万一身障者になった場合はその認定が受けられないこと(国民年金は老後の年金だけではない)、また会社勤めをしていサラリーマンや企業は厚生年金保険料を強制的に徴収されているという事実(厚生年金保険料支払い者に対しての不公平)を認識することも大事だと思います。
今、年金をもらっている人は、自分が若いときにそういう仕組みを作った業績といえます。私たちが老後を安心して過ごせるようにする仕組みを作るのは私たち自身なのです。みんなの年金は、みんなで考えていきましょう。