[215]副業秘匿対策(健康保険料と厚生年金保険料)
第211号では副業秘匿対策として、確定申告書の住民税の納付を会社から天引きされる「特別徴収」ではなく「普通徴収」を選んでおくことを述べました。これで会社の労務担当者に、他からの収入があることを秘匿することが可能です。
しかし、もうひとつ注意すべき点があります。それは社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)です。
これらの保険料は、給与明細をみればわかるようにごっそり引かれていると思いますが、この保険料の決定は社会保険事務所にて所得総額で決定されます。したがって、たとえばA社からの給与のほかに、B社からも給与を得ていて、その給与から同様に社会保険料を引かれている場合は、双方の労務担当者に「他にも所得がある」ことがわかってしまいます。
というのも通常二ヵ所から給与所得を得ていて、それぞれに社会保険料が適用になる場合は、それぞれの給与金額によって、社会保険料は按分されます。つまりA社にはいくら、B社にはいくらと通知されるわけですが、そのときに一緒に理由も付されてしまいます。したがって、他にも給与があることが労務担当者にばれてしまうというわけです。ただし、他社でいくら給与を得ているかは知らされません。
このようなことを避けるには、A社以外で社会保険料を払うような雇用にならないようにする必要があります。
まず、A社に勤めなら個人事業主となっている場合。個人事業主の場合は社会保険の加入義務がありませんので、収める社会保険料はA社から天引きされる部分のみとなります。
次にA社で社会保険料を支払い、B社では社会保険が適用にならない範囲の雇用としている場合。常勤の正社員の場合は、社会保険加入は義務となりますが、労働時間が週30時間未満になるなど、いわゆる短時間パートアルバイトの場合は、社会保険に加入しませんので、払う社会保険料はA社のみとなります。
この2点を守れば、会社の労務担当者に副業がばれることはありません。しかし、将来の年金のことを考えたら、A社、B社ともに保険料を払うことで、より多くの年金保険を手にすることが可能となります。つまり、副業禁止などという古臭い制度から早く開放されることがもっとも重要。それに備え、政府も将来はさまざまな雇用体系を視野に入れた社会保険制度を考えているようです。
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