[53]バックロードホーンスピーカー

2017年1月3日

アンプの電気信号を受け、スピーカーユニットはマグネットにより振動板を前後に動かし、空気を震わせ「音」を出します。振動板は前と後ろに同じ幅で震えますので、その音が重なってしまうとお互いに打ち消し「音」が消えてしまいます。

そこで、お互いに干渉しないようにその前後を仕切るのがバッフル。後方のバッフル空間を閉じたのがエンクロージャー、つまりスピーカーの箱です。スピーカーはこの箱のおかげで元気よく鳴ることができるのです。

エンクロージャーの種類は密閉型とバスレフ型が一般的。密閉型は歯切れがよく緻密な音質です。バスレフは低音が豊かで開放的な音となります。いずれも小型にすることができるので市販向きであることも一般的になった理由でしょう。

ここで一般的になれなかったスピーカーがあります。平面バッフルとバックロードホーンというスピーカーシステムです。

平面バッフルは、箱ではなく、一枚の大きな板です。スピーカーの前の音が後ろに回りこまないくらい大きな板にすれば音は元気よく出ます。これは故・長岡氏が三菱のP-610を8個使って作ったスピーカーシステムが有名。

もう一つがバックロードホーンという仕組みのスピーカーです。バックロードホーンはスピーカーユニットの後方を空気室、スロート、ホーンで負荷をかけたスピーカーシステムです。箱の中の工作が難しいため、市販品はほとんどありません。

バックロードホーンのいいところは高能率であることです。もともと出力のあまり無い真空管アンプが全盛の頃、それでも大きな音、重低音を出すために考えられた仕組みで、ユニット後方のホーン効果で重低音を取り出すことができます。また中高音はホーンの中でうまく減衰するので、前方から出る中高音を干渉しません。そのため、フルレンジ一本ですべてをカバーできるシステムが可能となります。

欠点は箱が大きいこと。またホーン効果でやや音質に癖があること、設計及びチューニングが難しいこと、などです。むしろ2ウェイや3ウェイシステムというのは、このバックロードホーンの欠点を補うため(市販向きに)考えられてきたといって過言ではないでしょう。

しかし、市販品にはない、重低音の歯切れのよさ、軽快さ、そしてフルレンジならではの音像のメリハリ、定位のよさはバックロードホーンならではです。今なお自作する人も多く、ユニットや自作キットを供給している業者さんも多いので、自作バックロードホーンに挑戦してみてはいかがでしょう?

2010-07-28