[09]ケンウッド
ケンウッドというメーカーは、その昔、通信機などを主に扱う高周波周辺機器メーカーでした。創業時(1946年)の社名は「有限会社春日無線電機商会」その後「トリオ株式会社」となる。
オーディオという趣味がまだ幅を利かせていた頃、パイオニア、サンスイと並んでトリオは有名なメーカーでした。パイオニアはスピーカーを作っている会社でバスレフ式の低音ががんがん(ぼんぼん?)出る元気のいい製品を出していました。サンスイはトランスのメーカーでアンプを得意とします。トリオは高周波メーカーだけにFMチューナーを得意としていました。その頃は、コンポといえば、アンプはサンスイ、チューナーはトリオ、スピーカーはパイオニアを使うのが初級マニアの定石です。もっともチューナーを買っても、FM局はNHKとFM東京しかなかったですが。
トリオは真空管が当たり前の時代に早くからトランジスタの開発に力を入れていました。無線機の軽量小型化にはトランジスタは欠かせないと考えていたのでしょう。世に一番最初にオールトラジスタアンプを送り出したのはトリオ。しかし、当時のトランジスタアンプはドンシャリ型の音質で、パワーはあるが荒々しいとの評価しか得られなかったものです。しかしトランジスタに対する意気込みがその後のケンウッドの引き継がれ、今でも携帯電話などで得意の通信技術の先端を走っているところがエライですね。
トリオは早くから海外に製品を輸出していてそのブランド名がKENWOOD。そうケンウッドはかなり前からある名前なのです。トリオはまたマニア向きにアンプやチューナーの組み立てキット品も販売していました。このブランド名は「ケンクラフト」といいます。「KEN」というのは多分創業者がケンさんだったのではないか?、と勝手に推測するのも楽しい。
2000-07-15