[02]ソリッドステート

2017年1月1日

◇TRIO KA-6000ソリッドステートステレオプリメインアンプミュージックパワー160W(80W+80W)価格¥68,800(1969年)~¥72,500(1971年)

KA6000

私がオーディオにはまった最初の記念すべきコンポーネントがこれ。高校生の時親にねだって買ってもらった。組み合わせたのは同じトリオのPC-350というプレーヤーとサンスイのSP-1001というスピーカー。トリオときいても今の若い人はわからないでしょうが、ケンウッドの前身がトリオ。高周波メーカーだけあって通信機器に強い性格は今の携帯電話や無線機を見てもうなずけるでしょう。

このアンプはトリオのアタックシリーズの基幹となるべきモデルで、トリオの情熱が惜しみなく注がれている。同じアタックシリーズにFMチューナーのKT-7000があるがこれは当時としては国産としては最高の評価を得ていた。さすが高周波メーカーだけのことはある。

アンプとしてのKA-6000はいかにも石らしい味付けで、全体的に音が細く、高音にクセがあった。トリオとしては最初のトランジスタコンポーネントだけに叩き台的な意味合いがあった。そのせいかどんどん改良されて音も良くなっていったように思う。

スイッチを入れると「ボンッ」と音がするのも懐かしい。このあと改良されたモデルがKA-7002(\86,400:1972年)だが、右上のピアノタイプのスイッチがプッシュ式にグレードダウンし長岡鉄男氏に酷評されていたのが記憶に残っている。

当時のアンプで大事なのはPHONO入力の性能だ。KA-6000はパネル後面の切り替えスイッチでMM型、MC型両方のカートリッジが使える。しかし当時はMシュアーV15タイプⅣに代表されるようにMM型が全盛。もちろんMC型もあったが高校生のお小遣いで手の届くシロモノではなかった。

スピーカーのSP-1001は上級機のSP-2002より評価は高く、当時のベストセラーとなったスピーカー。マルチチャンネルに対応する後部の独立した端子が、今となっては笑える。この程度のスピーカーをマルチチャンネルアンプでドライブしたって音は全然変わらないのに、当時まじめに論議していたっけ。

KA-6000はマルチアンプにも対応していて、後ろのジャンパーでプリアンプとメインアンプが別れる仕組みを一早くとり入れている。マルチチャンネルブームに火がつくとチャンネルデバイダーやメインアンプ単体もアタックシリーズにラインナップさせ意気込みが感じられた。

2000-05-27